ベトナムEC市場の発展とエンタテインメント要素の重要性
ベトナムにおける電子商取引(eコマース、EC)の市場規模は130億USD(約1兆4700億円)で、2025年には390億USD(約4兆4000億円)まで拡大すると予測されている。ベトナム財務省によると、2021年時点でベトナム人口の85%は電子財布及び電子決済を利用している。特に、その中の71%は最低でも週に1回電子決済を行うという。
ベトナムECの成長率は2022年に世界トップ5に入っており、インターネットの普及によって、ECの利用者数は年々伸びている。
ベトナムEC市場におけるビジネス戦略は、様々なものがある。新型コロナウィルス収束後は、新たなトレンドとして「ライブコマース」(ライブ配信とモノ・コト販売の組合せ)が注目された。企業はKOL(インフルエンサー)やライブストリーマー等と提携し、ライブ配信を通じた商品の販売を定期的に行っている。ライブストリーマーのPham Thoai(ファム・トアイ)氏は、Tiktokで24時間連続ライブ配信を行い、76,000件の注文を生み出した事例がある。
このように、ベトナムEC市場では、エンタテインメントの要素が非常に重要である。
ベトナムEC市場にゲーム要素を求めるユーザーが増加
ここ数年、「ショッピング」と「エンタテイメント」を組み合わせた「ショッピングエンタテイメント」への注目が高まっている。ベトナムEC市場では、ECプラットフォームや企業がビジネス戦略を検討する際、この「ショッピングエンタテインメント」が重要な要素となりつつある。
EC分野の専門家によると、ライブストリームと同様に、「ショッピングエンタテインメント」の中でも特に、「ゲーミフィケーション」(ゲーム要素の組込み)によって、ショッピングアプリにおけるユーザーの滞在時間を延ばし、売上向上につなげることができるとのことである。
「ゲーミフィケーション」が企業のマーケティング戦略に与える影響は大きい。Bazaard Voiceは、ユーザーの約70%が、オンラインショッピングにゲーム要素が含まれることを望んでいるとの調査結果を発表している。電子商取引プラットフォームLazadaが、Buzzmetricsと実施した調査(2023年末)においても、同様の数値が算出されている。これらの結果より、ベトナムのEC市場において、ユーザーが様々なエンタテインメント要素を求める傾向が高まっていることが示されている。
ECにおける「ゲーミフィケーション」の事例としては、アプリのゲーム内でタスクを達成することで、特典を獲得できることが挙げられる。例えばLazadaでは、ユーザーがゲームを通じてLazCoins(Lazadaで使用できるポイント)を獲得することができる。ゲームによって、ショッピング体験を促進している形である。
今後の展望
「ショッピングエンタテインメント」や「ゲーミフィケーション」の普及によって、従来のビジネスモデルが拡張し、新しい収益源の機会が創出される。外国投資家は、これらの新しいビジネスモデルやテクノロジーに投資することで、市場での競争力を高めることが可能である。