はじめに
現在進行中のベトナム・米国間の貿易協定交渉は、戦略的パートナーシップの深化および相互利益の最大化を目的とする取組。対外経済環境の不確実性の高まりを背景とした重要事項。90日間の関税一時停止措置の終了を控え、両国には迅速かつ実質的な合意形成が求められる状況。本レポートは、投資家が動向を監視し、状況に応じて適切な準備を行えるよう、2025年5月20日までのベトナムと米国間の交渉状況をアップデートする。
背景 – 米国による相互関税措置およびその一時停止の経緯
2025年4月9日、アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏は、米国に対して報復措置を講じなかったすべての貿易相手国に対し、90日間の関税措置一時停止を発表した。この決定は、Truth Social上での大統領声明を通じて公表され、「75か国以上が通商、財務およびUSTR(米国通商代表部)との交渉に参加し、米国への報復行動を控えたこと」が根拠として示された。
これにより、ベトナムを含む複数の貿易相手国に対する関税引き上げの適用は、一時的に停止された。
2025年5月12日、米中両国は一部関税の適用を90日間延期することで合意し、輸入関税の大幅な引き下げに踏み切った。これにより、米国の対中輸入関税は一時的に145%から30%に引き下げられ、中国による相互関税も125%から10%に縮小された。結果として、米中間における報復的関税措置の応酬は沈静化の方向に向かった。
こうした措置の背景には、米国政府による戦略的判断がある。関税引き上げが国内経済に及ぼす影響および国際関係の悪化を回避する目的から、関係国との交渉を通じた解決を優先する姿勢が示された。とりわけ、米国が推進する対外経済政策においては、通貨操作や非関税障壁への対応、輸出入バランスの是正などが主要課題となっている。
このような国際的枠組みにおいて、ベトナムは他国と同様に、米国との関係安定化を目的とした対話および交渉を加速させている。
ベトナム・米国間の二国間貿易協定交渉の現状(2025年5月時点)
2025年5月19日から22日にかけて、米国ワシントンD.C.において、ベトナムと米国の間で「二国間相互関税回避に関する貿易協定」の第2回交渉が実施された。この交渉は、両国首脳間の合意に基づいて進められており、戦略的パートナーシップの深化と、貿易関係の安定を目的としている。

(Link: Thông tin mới nhất về đàm phán Hiệp định Thương mại đối ứng Việt Nam – Hoa Kỳ)
ベトナム代表団は、商工大臣であるグエン・ホン・ジエン氏が率い、
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