ベトナム製薬産業の発展に向けた課題と目標
ベトナムの製薬産業は、主にジェネリック医薬品や必須医薬品の生産に依存しており、高技術医薬品や新薬の研究・生産が不足している。現在、発明薬の市場シェアは約3%であるが、全体の市場価値の22%を占めており、その多くは輸入品である。
ベトナム国内での発明薬の研究・生産は限られており、特に中小企業が多い製薬施設は高額な資金と高度な人材を必要とするため、積極的な取り組みが見られない。また、研究開発への投資額も限られており、先進的な製剤や製造プロセスの最適化が進んでいない現状である。
このため、ベトナム政府は製薬産業の発展に向けた強力な政策を打ち出す必要がある。具体的には、発明薬を製造できる「製薬産業レベル4」の達成を目指し、高技術医薬品を開発する企業への優遇措置を導入する。
2030年までにベトナム国内で使用される医薬品の80%を製造し、市場価値の70%を占めることを目指すとともに、少なくとも100種類の発明薬の技術移転を行い、輸出額を10億USDに達することを目標としている。さらに2045年までには、製薬産業がGDPに20億USD以上貢献することも目指している。
これらの目標達成には、ベトナム国内外からの投資促進が不可欠である。特に、医薬品製造や技術移転、ワクチン・治療用バイオ製剤の開発に対する優先政策が求められる。また、医薬品原料の国内生産や高品質な製品の開発も重要であり、これにより輸入依存から脱却し、自給自足体制を構築する必要がある。今後は、研究機関や企業間での連携を強化し、持続可能な成長を目指すべきである。