バイクによる配送サービスの概要
本章では、 バイクによる配送サービスの概要について解説する。
ベトナムの食品サプライチェーンにおける冷凍・冷蔵輸送のトレンド
コールドサプライチェーンは、生鮮食品、特に肉類、魚介類、野菜などの品質と安全性を確保する上で重要な役割を果たす。Statistaの報告によれば、ベトナムの食品市場は2024年に960億米ドル(その内、生鮮食品市場の売上高が204億4,000万米ドル)に達し、2022年と比較して9%増加し、2023年から2027年までの年平均成長率(CAGR)は約8.22%と予測されている。東南アジア地域内で比較すると、ベトナムの食品業界はインドネシアとフィリピンに次いで3位に位置し、2022年からの成長率は8位、CAGRは2027年までに地域で2位となる見通しである。
ベトナムにおけるバイクを使った配送サービスのトレンド
ベトナムは、2023年時点で7,000万台以上のバイクが登録されており、世界でもバイクの普及率が最も高い国の一つである。2023年、ベトナムは東南アジアで最もバイクの利用率が高い国となった。2023年における東南アジア諸国の中で、ベトナムのバイク利用率は72.8%で最も高く、シンガポールは2.4%で最も低い結果となった。
バイクの普及により、それが主要な輸送手段となり、特にハノイやホーチミン市のような大都市における配送サービスで主に利用されている。近年、バイクによる配送サービスは急速に発展し、電子商取引および物流、さらにはコールドチェーンの成長を促進する1つの要因となっている。
アイスクリーム
アイスクリームは、特に高温で湿度の高い熱帯気候のベトナムで人気の商品である。Statistaの報告によると、2024年におけるベトナムのアイスクリーム市場の価値は2億200万米ドルと予測され、2024年~2029年、CAGRは6.6%と見込まれている。
アイスクリーム業界では、配送時の冷蔵保存が非常に重要である。アイスクリームは、伝統的な店舗、コンビニチェーン、スーパーマーケットで販売されている。小規模な店舗やコンビニチェーンに辿り着くまでには所々狭い道もあるため、アイスクリームの配送は通常バイクで行われる。
地方では、販売者が発泡スチロールの箱を使って短距離の配送を行うが、保存状態が悪く、さらに炎天下での移動によりアイスクリームが溶けてしまうことがよくある。
しかし、都市部、特にコンビニチェーンでは、アイスクリームは温度管理装置が備えられた専用の冷蔵保存用のボックスで配送される。
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