ベトナムの電力計画調整と成長戦略
ベトナム商工省のグエン・ホン・ディエン大臣は、ベトナム政府が2025年の経済成長率を最低8%とし、2030年には現在の電力供給の2.5~3倍、2050年には5~7倍に拡大する目標を掲げていると発表した。この成長を実現するためには、エネルギー供給の拡大と、国際社会へのカーボンニュートラルの約束を両立させる必要がある。そのため、2023年に承認された第8次電力計画(Quy hoạch điện VIII)の早期調整が求められている。
新たな電力計画では、経済成長率8%のシナリオを基に、電力需要の増加を45~50%に設定し、高成長シナリオでは60~65%、極端なケースでは70~75%と想定している。電力供給源については、再生可能エネルギーの最大活用を基本とし、地域ごとの適性を考慮した導入を進める。水力発電はクリーンで安定した電源として最大限活用し、バイオマス発電は15MW/100万人の基準を導入する。さらに、国内の森林資源や廃棄物を活用する計画も検討されている。
また、天然ガス発電は、国内ガス田の開発遅延に伴い、初期段階では液化天然ガス(LNG)を活用し、安定供給を確保する。原子力発電についても、本計画では2030年までに最低3か所で新規建設を進める方針が示された。加えて、電力貯蔵技術の導入も重要視されており、バッテリー技術を活用した電力供給の安定化が求められている。
電力網の強化も重要な課題であり、スマートグリッドの導入が計画されている。広域送電のため、陸上および海底ケーブルの活用が検討されており、特にベトナム国内のエネルギー輸送効率を高めるために必要とされている。
エネルギー需要予測に関して、元ベトナムエネルギー研究所副所長のグエン・アン・トゥアン氏は、2031年以降の電力需要増加を抑制し、サービス業への移行を進めることが望ましいと述べた。また、高速鉄道や地下鉄などの交通インフラ向け電力需要の影響を考慮する必要があると指摘した。
今後のエネルギー政策は、持続可能な成長とエネルギー供給の安定を両立させるため、電力供給の多様化と送電インフラの強化を軸に進められる予定である。
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