はじめに
本レポートでは、有望なベトナムのスタートアップである『GLOBAL2ME』を紹介する。
シードステージにおける投資のチャンス、また、ベトナム市場へ進出したい日系企業にGLOBAL2MEが展開するライブコマースプラットフォームでの商品販売のチャンスを紹介していく。
ライブコマースはECの未来
新型コロナウィルスは世界中で消費者の購買行動に大きな変化を起こした。隔離政策による移動制限をきっかけに通信販売が一段と成長し、多くの方法で展開されている。その中で、ライブコマースは新たなトレンドとなり、アフターコロナの市場においても成長が期待される。
ライブコマースの急成長
ライブコマースとはライブ配信とモノ・コトの販売を組み合わせた用語であり、中国を中心に広がっている。新型コロナの流行以前にはこの用語は馴染みがなかったが、新型コロナの収束後、ライブコマースは盛んとなり、多くの利用者に視聴されている。
中国の成功事例
世界で米国と中国は最も大きなEC市場である。 中国はライブコマースにおいて最大規模のある市場を評価される。
2016年にSNSとECプラットフォームはユーザーによる動画配信中に購入可能な商品を表示させる機能を備えて、商品購入の際の電子決済も使用可能となった。
2017年から2018年にかけて中国でライブコマースの急成長を迎える時期だと見られている。 一般の人からセレブ、KOL( インフルエンサーの意、Key Opinion Leaderの略)までライブストリーマーとなり、積極的に商品販売を行っていた。ライブコマースの利用者が急激増加した。増加の理由として、KOLが動画配信中にフォロワーの質問に答えることで双方のコミュニケーションが取りやすくなったため、実際に商品を購入した際のイメージがしやすくなったことを挙げられる。日本で言うUUUMのようなマルチチャンネルネットワーク(MCN)も登場し、コンテンツをまとめる役割を果たし、KOLを一つの企業に集約することで依頼者に効果的な広告の提案ができるようになった。ECプラットフォームはコンテンツの制作者に補助金を支払い、独自のサプライ チェーンの構築に着手した。
2019年から2020年にかけてライブコマースを通じた取引数量が大幅増加し、ブームとなった。ライブストリーマーは学生や公務員など多様化された。2020年に中国で人口の40% (5 億 2,400 万人) がライブコマースを利用した。
2020年以降の中国ではライブコマースが更に流行しており、販売品目は生命保険、住宅ローン、旅行、自動車、不動産、衛星サービスなど多様多種である。2021年には中国で約 7 億人のユーザー(人口の68%)がライブ配信を視聴している。2021 年の中国ライブコマースの市場規模は3,000 億ドルであり、2023 年には6,000 億ドルの2倍まで成長を見込む。
中国で最も人気のライブストリーマーと言えば、「口紅王子」の李佳琦(オースティン・リー)氏が挙げられる。2020 年に李佳琦氏によるライブ配信は延べ 1億 6,200 万人の視聴者を集め、39 億 1100 万人民元 (6 億ドル) の取引金額を記録した。さらに、2021/10/20に12 時間連続ライブ配信を行い、 100 億人民元 (15 億ドル) の取引金額の記録を達成した。ライブストリーマーとしての4年間で、李佳琦の年収は約1,900万ドルとされている。
他の人気ライブストリーマーとしては薇婭(ウェイヤー)氏が挙げられる。ライブ配信で宇宙ロケットを含めたあらゆる商品を販売できると言われている人気配信者で、2021年には薇婭氏の財産は14 億ドルと予想されており、中国で最も裕福な500 人にも入った。
ベトナムにおけるライブコマースの発展
ベトナムECの成長率は2022年に世界トップ5に入る。インターネットの普及でEC利用者の数は年々伸びている。ライブコマースの発展は中国より遅れているが、大きなポテンシャルがあると見られている。2022年におけるベトナム消費者の意思決定に影響を与える要因として、ライブ配信の視聴、双方のコミュニケーション、売り手から早いレスポンスが挙げられる。
ベトナムで人気のSendoやShopeeといったECサイトはライブコマースのトレンドを予測し、ライブ配信、電子決済などの機能を導入し、ライブ配信を通じた商品の販売を加速させた。さらに、多くの投資家は中国の成功事例に惹かれ、ベトナム国内のライブコマースに参入を始めている。
企業はKOL、ライブストリーマー等と提携し、ライブ配信を通じた商品の販売を定期的に行っている。販売実績として、ライブストリーマーのPham Thoai(ファム・トアイ)氏はTiktokで24時間連続ライブ配信を行い、76,000件の注文を生み出した。特に、1分間で2,000件以上のシャツの注文を受けた瞬間もあった。このライブ配信の再生回数は510万に達し、約3,000万の「いいね」を獲得した。また、24,000人が同時視聴した瞬間もあった。
一方で、ライブコマースに対するトータルソリューションを提供可能な会社はベトナムにまだ無く、市場の潜在が非常に大きいと見られている。
GLOBAL2MEの紹介
GLOBAL2MEは2022年に設立し、独自のコンテンツを制作し、高品質の商品を販売するベトナム人向けのライブコマースプラットフォームを運営する会社である。ライブ配信を通じ、最先端のマーケティング手法を用い効果的な販売を促進し、出店者の売り上げに寄与する。
GLOBAL2MEのビジネス
GLOBAL2MEはベトナムでトップのライブコマース企業を目指し、次の4つの要素に注力する。
- トレンドメーカー:市場のリード、消費者の嗜好の把握、ブランド認知度の向上
- コンテンツの制作:正確な情報、効果的なメッセージによる販促
- プラットフォームの提供:マルチプラットフォーム、ライブストリーマーへのトータルサポート
- ライブストリーマーのネットワーク:セレブ、KOL等とのネットワーク強化、プロフェッショナルなライブストリーマーのコミュニティの育成、ブランドへのコンサルティング
ライブ配信は同社が開発したライブコマースプラットフォーム、SNS、モール型ECサイトなどの複数チャンネルで展開される。視聴者は世界中のベトナム人が対象である。具体的には、ベトナム国内のベトナム人(約9,900万人)、日本に住んでいるベトナム人(約50万人)、アメリカに住んでいるベトナム人(約250万人)等が挙げられる。販売品目については、ベトナム人消費者に特に人気のある5つのカテゴリーに注力している。
GLOBAL2MEは次のようなコンテンツ(ライブ配信)を提供する。
①VIRAL WITH ME:自社制作の短編動画による商品広告
- 動画の長さ:1~3分
- 配信頻度:毎日1動画の制作
②LET ME TALK:ライブストリーマーによる商品の販売
- スタジオでのライブ配信
- 配信頻度:月曜日~金曜日まで60分間ライブ配信
③STYLE WITH ME:企業現場でライブ配信又は商品やサービスのレビュー
- 配信頻度:土・日曜日に60分間ライブ配信
④LET ME SHOW:イベントを開催(ファッションショー、メイクアップショー、ヘアショー等)
- オンライン及びオフライン
- 配信頻度:1月及び四半期ごとに120分程度のイベントを開催
GLOBAL2MEの強み
GLOBAL2MEは関連する分野での実績が優れている2人の共同創業者によって創業された。Mai Thu Huyen 氏(マイ・トゥ・フェン)とPhi Hoa氏(フィ・ホア)である。
Mai Thu Huyen 氏はプロデューサー、女優、テレビ司会者としてメディア・エンターテイメントの分野で 20 年以上の経験を有し、成功したビジネス・ウーマンとして知られている。
Phi Hoa氏 は日本の文部科学省の国費留学生として来日し、大阪大学、大阪大学大学院を卒業した。デロイトトーマツコンサルティング合同会社を経て、現在日本で投資、貿易、販売促進などに関する経営コンサルティング企業を運営している。Phi Hoa氏は12年以上の日越間でのビジネス経験を有し、日本とベトナムの架け橋として活躍している。
優秀な経営層以外には、高い技術力、独創的なコンテンツ、ブランド及びライブストリーマーとの広いネットワークが、GLOBAL2MEの強みとして挙げられる。
GLOBAL2MEへの投資機会
ライブコマースが今後のECの主流と見られる現在において、GLOBAL2MEは国内外の投資家にとっても有望なスタートアップと言える。当社はシードステージで資金調達を行っている。
- 売上 :250万ドル(2023年の見込)
- 調達資金:396,508ドル(シードステージ)
- 調達対象:国内外の投資家
- 運用計画: プラットフォームの整備 (30%)、マーケティング (30%)、組織構築 (40%)
2023年の見込売上高は250万ドルであり、企業価値は790万ドルに達することが予想されている。ライブコマースハブの展開及び米国と日本への市場拡大に伴い、売上高が刺激な成長を迎えると予想される。2031年までの上場を目指し、達成する際GLOBAL2MEの売上高は1億5500万ドル、企業価値は6億6500万ドルまで成長すると想定される。
GLOBAL2MEは396,508ドルの資金を調達している。その中での最低投資金額は22,028ドルである。成長性が高いスタートアップのGLOBAL2MEに投資を予定される投資家はシリーズAで約6倍(137,987ドル)、シリーズBで約15倍(323,786ドル)、シリーズCで690,675ドル、IPOの時点で約65倍(1,425,253ドル)のリターンが期待される。
本投資案件は、次のような投資家に推奨される。
- 初期段階から参加し、将来の大きなリターンを期待するベンチャーキャピタル
- ベトナム市場へ進出したい、ベトナムでの販路を開拓したい企業又は投資家
- ベトナム市場へ商品を販売したい企業又は投資家
- IT企業に投資したい企業又は投資家
- デジタルマーケティングに関するノウハウを獲得したい企業又は投資家
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