ハノイ市の基礎情報
本章では、ハノイ市の基本的な情報を紹介する。
ハノイ市の歴史
ハノイは漢字で「河内」と書き、中心部の東側を紅河が流れ、北側に西湖がある。近年は工業が盛んな場所として発展し、また農作物の集積地でもあった。歴史的には、その前身はタンロン(昇龍)であり、1010年皇帝リ・タイトー(李太祖)が首都に定めている。さらに1430年にはレ・ロイ(黎利)によってトンキン(東京)と名づけられものの、16世紀には再度タンロンと命名されている。1802年にはグエン(阮)朝の下で、首都は中部のフエに移動した。公式にハノイという名称が登場したのは1831年であり、最初は一つの省の名前として命名されたものである。ハノイが首都になったのは、ベトナム民主共和国成立に伴う1945年9月2日のことであった。
ハノイ市の概要
ハノイ市は、南部のホーチミン市、カントー市、中部のダナン市、北部のハイフォン市とともに中央直轄市であり、29の行政区画がありそのうち10の区画が都市部で、さらに市(市社)なるものが1つ、郊外・農村部(県)が18ある。2008年にハタイ省全域、ヴィンフック省の一部、ホアビン省の一部が合併によって加わり、それまでの面積の3.6倍、人口は約2倍となった。
面積は約3359㎢、人口は約800万人を擁しホーチミン市に次ぐ第二位である。省内総生産(GDP)は304億ドル、一人当たりのGDPは4,042ドルで、こちらもホーチミン市に次いで国内第2位である。
ハノイ市の消費動向の変化
ホンダ、ヤマハ、デンソー等に代表される製造業の進出が多かったハノイ市だが、近年は経済発展による所得増加から、単なる製造拠点ではなく消費市場としても注目を集めるようになり、小売業、飲食業、IT業などのサービス業の進出も増加している。また消費者の動向もこれまでの個人商店、雑貨屋が主流だったトラディショナル・トレードから、大型スーパー、ショッピングモールなどのモダン・トレードへと移行してきており、外資小売企業にとってはビジネスチャンスが今後ますます拡大していくと考えられる。
【画像】ハノイ市のモダントレード店舗の一例
3.ハノイ市の地理状況
ハノイ市都心部から北に約45km離れた場所に、北部最大の国際空港、ノイバイ空港がある。2014年に日本のODAによって建設された第2空港ターミナルが開港したことにより、国際空港となった。また国道も整備・拡張も進んでおり都市鉄道の建設計画も進行していることから陸路の拡充も進みつつある。また北部最大の港湾都市ハイフォン市まで車で2時間という地理的優位性は、ハノイ市の工業の発展に大きく寄与している。
首都であることからインフラ整備もハノイ市が優先して行われることが多く、ハノイ貿易大学などのトップレベルの教育機関も集まっている。そのため日本企業も進出の際にホーチミン市とハノイ市を比較した結果、ハノイ市を選ぶケースも多くなっている。
【図解】ハノイ市の地理的特徴
4.ハノイ市の工業団地
ハノイ市には多くの大手日本企業が進出し、工場を構えている。タンロン工業団地は住友商事が出資している日系の工業団地であり、住友系列企業の他にもデンソー等も入居している。現在第三工業団地を建設中であり、一部はすでに販売を開始している。
クアンミン工業団地はベトナムのディベロッパーが開発した工業団地で、ニトリベトナム等が入居している。またノイバイ工業団地はマレーシアとベトナムの合弁会社が出資している工業団地で、ヤマハ等が入居している。ホーチミン市周辺の南部の工場はすでに入居者が一杯で新たに工場を進出する余地がない団地も多いが、北部の工業団地は比較的まだスペースに余裕のある団地が多く、製造業にとってはチャンスと言える。
ハノイ市は上述したように製造業・サービス業の進出が加速している他、政治の中心であることから国営企業との取引を狙った進出も多い。また2030年までには鉄道8路線の建設が完了する計画も決定されており、今後も同市の発展から目が離せない。
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