世界保健機関WHOのデータによると、ベトナムは世界で最もがん患者の割合が高い国の1つである。ベトナム人10万人あたり約151人のがん患者がおり、この数字はタイ(約147人/10万人)、インドネシア(約133人/10万人) 、マレーシア(約132人/10万人)などの近隣諸国よりも高い。
ベトナムのがん統計
ベトナムで最も一般的ながんは、肝臓がん(人口の14.5%)、肺がん(人口の14.4%)、および乳がん(人口の11.8%)である。他の一般的ながんとしては、胃がん(人口の9.8%)、結腸直腸がん(人口の9%)および白血病(人口の3.4%)が挙げられる。
ベトナム人男性のがん統計
SAGEJOURNALSに掲載された多数のベトナム医療専門家の研究によると、ベトナム人男性の肺がんおよび肝臓がんの症例数は、2000年から2018年にかけて徐々に増加した。2000年時点の男性肺がん症例数は6,905例だったが、2018年には16,722例に達した。同様に、2018年時点の男性肝臓がん症例数は19,568例であり、2000年のほぼ4倍となった。さらに、ベトナム人男性に関しては2018年時点で他にも、11,161例の胃がん、7,607例の 結腸直腸がんおよび4,559例の鼻咽頭がん症例が見られた。
ベトナム人女性のがん統計
またこの研究によると、ベトナム人女性の乳がんの症例数も2000年から2018年の間に5,538人から15,229人に増加した。同様に、2018年には結腸直腸がんのベトナム人女性は7,126人で、2000年の約4倍となった。さらに、2018年のデータは、肝臓がん、肺がん、胃がん、子宮頸がんなど他のがんに苦しむベトナム人女性も、2000年と比べ年々増加する傾向があることも示している。
ベトナムにおけるがん患者増加の原因
ベトナムでがん患者の割合が近年急増している原因は多数ある。まず近隣諸国と比較してアルコール消費率がはるかに高い。また、高い喫煙率・炭水化物を含む食物の消費量の増加・日常的な運動習慣の欠如・定期健康診断をほとんどしないことなど、非科学的なライフスタイルも影響している。
将来の抗がん剤需要について
国民一人一人に自己の健康を守る意識を向上してもらうことを目的として、ベトナム政府は多くの政策を立案しているが、その多くは実施に成功しておらず、がんの症例数は近年依然として増加している。同時に、国内の医療システムの過密とがん治療薬の不足が原因で、人々のニーズは未だ満たされていない状況にある。したがって、ベトナムの医療システム改善に関する需要と同様、抗がん剤使用に対する需要は、今後何年にもわたって高い状況が続くと考えられる。