ベトナムにおけるアパレル産業動向
ベトナムのアパレル業界は、近年、驚異的な成長を遂げており、世界第4位の規模を持つ産業として注目されている。豊富な労働力と積極的な輸出振興策を背景に、1990年代からの発展を経て、中国に次ぐアパレル・繊維輸出量は第2位の地位を獲得している。今後、業界全体として持続可能性の追求や技術革新への取り組みが大きな課題となっている。
さらに、米中貿易摩擦の影響で、多くの企業が生産拠点を中国からベトナムへとシフトしており、アパレル業界においても、主要なブランドがベトナムを新たな製造拠点として選択している。
近年の動向として、欧米諸国からの「アパレル・繊維生産のグリーン化」の要望への対応である。具体的な取り組みとして、石炭や石油を使用するボイラーから電気ボイラーへの転換や、屋根置き太陽光発電パネルの設置が進められている。これらの「グリーン化」取り組みや製品の基準が満たされることでEUや米国、日本などの市場からの大口注文の機会が増加している。
グリーン化はもはや選択ではなく必須の基準となっている
ベトナム繊維アパレル協会(VITAS)の会長、ブー・ドゥック・ザン氏は「ベトナムのアパレル・繊維産業が持続可能な地位を築くためには、クリーンエネルギー、再生可能エネルギーの活用、省エネ、そして気候変動問題への対応といった点で、企業ごとのソリューションの導入が不可欠」と述べた。
VITASは、2023年までにエネルギー消費量を15%削減し、水の消費量を20%削減するという目標を設定している。また、2030年までにはベトナムのアパレル・繊維産業の「グリーン化」を達成し、同時に30の国際的なブランドを確立することを目標として掲げている。
VITASの会長は更に、グリーン化はアメリカ、EU、日本をはじめとした主要市場からの要求事項となっており、価格や製品品質、納期だけでなく、サプライヤーの「グリーン化」が求められているとの考えを示している。AdidasやNike、Uniqloなどの大手ブランドは、環境に配慮した工場を選んで発注するという方針を持っていることが判明しており、アパレル産業における「グリーン化」は、もはや選択肢ではなく必須の基準となっている。