はじめに
ベトナム政府は、2023年の年末と2024年の電力供給に関する方針を発表した。国民の生活および企業活動を支えると同時に、国家のエネルギー安全保障を強化し、外国投資家の信頼を維持することを目的としている。
国内の電力発電所の活用と再生可能エネルギーの活用優先
ベトナム政府は、ベトナム石炭・鉱物産業グループ(TKV)、国営の石油大手であるペトロベトナム(PetroVietnam)、Dong Bac Corporation(TỔNG CÔNG TY ĐÔNG BẮC)と連携し、国内の電力発電所を最大限に活用するよう指示した。特に風力および太陽光エネルギーの最大限の活用を優先する方針を示している。
商工省(MOIT)とベトナム電力総公社(EVN)によると、2024年のGDP成長率目標である6.0〜6.5%に対し、総発電量は50,000MWから最大52,000MWを見込んでいる。
また、ラオスや中国からの電力輸入も検討されており、水力発電・石炭火力発電などの発電所についても柔軟に対応し、電力供給を確保するよう関連機関に指示をしている。
※Dong Bac Corporationは1994年に設立された国防省直轄の軍事企業である。主な事業内容は石炭採掘である。
ベトナム政府は商工省に対し、風力発電や太陽光発電のプロジェクトにおいて、まだ契約は締結されていないが既に完成しているプロジェクトの電力価格を財務省と協力して決定するように指示した。再生可能エネルギーの効率的な利用が期待される。
夏季の電力供給
ベトナムでは夏季に電気需要が高まる傾向にあり、昨年は北部地域で電力不足による停電が相次いだ。また、ベトナムの電力供給の約50%は石炭火力発電によって賄われており、水力発電と石炭火力発電の双方が重要な役割を果たしている。これらの発電所における適切な検査、修理、保守計画の策定は、夏季の電力需要に対応し、電力不足を防ぐために不可欠である。
最後に
ベトナム政府の方針は、エネルギー供給の安定性を高め、再生可能エネルギーの利用拡大を通じて環境保護に寄与すると同時に、国内外のビジネスにとってポジティブな影響をもたらすことである。政府の取り組みは、ベトナムの持続可能な発展に向けた重要な一歩である。