ガス田ブロックB開発へ前進
2023年10月30日、ベトナム南部キエンザン省沖の天然ガス田「ブロックB」の開発プロジェクトにおいて、新たな進展が見られた。国営ベトナム石油ガスグループペトロベトナム(PetroVietnam)は、三井物産の子会社である三井石油開発(MOECO)とその他のパートナー企業と基本合意書に署名した。
ファム・ミン・チン首相も出席し、国家のエネルギー開発戦略においてこのプロジェクトの重要性を強調した。
天然ガス田「ブロックB」の開発プロジェクトの概要
ブロックB開発プロジェクトは、カントー市のオモン火力発電所にガスを供給するために検討されていた。しかし、ガス供給条件の調整が難航しており、最終投資決定(FID)に向けて一歩前進したが、ガスの引き取り保証などの課題はまだ解決されていない。基本合意書はペトロベトナム、三井石油開発、タイのPTTEPが結んだもので、それぞれがブロックBの権益を保有している。
このプロジェクトは上流の天然ガス開発、中流のパイプライン事業、オモン火力発電を含めた投資総額が120億米ドルにのぼる大規模プロジェクトである。年間50億6000万立方メートルの天然ガスを生産し、オモン第1~第4発電所の総出力は最大380万キロワットになる見込みである。このプロジェクトは約20年前から計画されていたが、交渉の長期化により進展が遅れていた。
また、オモン火力発電所は国営電力ベトナムグループ(EVN)がベトナム南部カントー市で進めている火力発電プロジェクトである。このプロジェクトでは多くの日系企業が参入している。
今後の展望と課題
発電所側が天然ガスの引き取りを保証するかどうかが焦点となっている。三井石油開発などの投資家は、投資を回収するためにガスの長期受け入れの確約を求めているが、発電所側はこれに難色を示している。
この大規模プロジェクトは、巨額の投資と複雑な調整を必要としている。国家の重要な石油・ガスプロジェクトであるため、今後の展開が注目されている。また、環境への影響や持続可能性の観点からも、このプロジェクトは慎重な検討が求められる。
