ベトナムの洋上風力発電のポテンシャル
ベトナムは、東南アジア地域において最も洋上風力発電のポテンシャルが高いと評される国である。
ベトナムは南北に伸びる3,200km以上の海岸線と約100万平方キロメートルの海域を有しており、洋上風力発電の開発において大きなアドバンテージを有している。また、多くの海域において年間平均風速が9〜10m/sに達している。
ベトナムの洋上風力発電のポテンシャルは約500 GWであり、実際に開発可能なポテンシャルは約162 GWである。(デンマークのエネルギー庁および世界銀行による評価)
風力発電の現状と動向
ベトナムは中部、南部、高原地帯の沿岸地域における風力発電の開発を積極的に進められている。
特にニントゥアン(Ninh Thuận)やビントゥアン(Bình Thuận)、ソクチャン(Sóc Trăng)、チャビン(Trà Vinh)、バクリュー(Bạc Liêu)などの地域が主要な風力発電の開発地点として挙げられる。
例として、バクリューの洋上風力発電所は現在、年間約3億kWhの電力を供給している。2025年までには、年間供給量を約30億kWhまで増加する予定である。
ビントゥアン沖の大規模な洋上風力発電プロジェクトでは、3.4 GWの出力を計画している。2019年から実装可能性調査が進行中で、2030年までに完成が見込まれている。また、フーコック島やバッハロンヴィ島周辺の海域をそれぞれ、設置可能な出力のポテンシャルは約38 GW以上に達する。
多くのプロジェクトが実施段階にある中で、一貫した政策や対応策の確立によるサポートも必要である。風力発電の開発を効率的に進めるためには、風速データや地域ごとの発電ポテンシャルに関する情報収集が不可欠である。特に、洋上風力発電においては、先進技術と専門家の経験が求められる。これらは、新技術の採用や国際的な協力を通じて満たされることが期待される。また、洋上風力発電は、風況によって発電量が変動するため、発電と消費間でのバランスや電力供給の安定化が課題となる。この点を考慮し、適切な設備の配置と専門家との連携を強化することが求められる。
ベトナムの風力発電開発に間して、最も重要な要素は以下の三つである。安定した政策・制度の整備、資金的な信頼性を持つ投資家の参入、そして効果的な投資と実施のノウハウが必要である。ベトナムが風力エネルギーを最大限に活用するためには、国家戦略としての取り組みや、多様な支援・優遇策の導入が欠かせない。
ベトナムの風力発電のポテンシャルは東南アジア地域で最も高く、今後も注視すべきである。
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