ベトナムの交通インフラの現状及びその将来展望
2023年9月3日、ベトナムのチン首相は780/CD-TTgに署名した。これは国の中央政府機関である、交通運輸省(MOT)、計画投資省(MPI)、財務省(MOF)、建設省(MOC)および天然資源環境省(MONRE)に対して、インフラプロジェクトの推進を促す公文である。
ベトナムでは、急速な経済成長を支えるためのインフラ整備が急務となっている。ベトナム政府はこの認識を踏まえ、国内の大型インフラプロジェクトを次々と推進している。780/CD-TTgにおいては、プロジェクトの進捗モニタリング、資金の確保、および関連機関との連携強化が求められている。
現在、ベトナムの高速道路の総延長は1,832Kmであり、2025年には3,000Km、2030年には5,000Kmへの拡張を目指している。具体的なプロジェクトとしては、東部の北-南高速道路、ハノイ首都圏の環状道路、ホーチミン市の環状道路、そして西北部からメコンデルタ地域にかけての高速道路の整備が進行中である。これらの高速道路の整備により、土地の有効活用及び地方都市の経済・社会的発展が促進され、新たな投資機会と雇用機会の増加が期待される。
一方で、高速道路と地方の道路網との接続に関する課題が懸念されている。高速道路計画と各地域計画との連携が不十分な場合、かえって地域の発展を阻害してしまう。この課題を解決するため、首相は交通運輸省に対して、2023年内までに、高速道路と一般道路の接続地点の整備及び地方計画との連携強化を指示している。
ベトナム政府は、インフラ整備によって国内外からの投資を誘致し経済の一層の発展を図るとともに、交通の便を向上させることで国民の生活の向上や観光業の発展を目指している。これらのプロジェクトの進展は、ベトナムの持続的な成長に直結する重要な要素である。
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