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医薬品・ヘルスケア

ベトナムの医薬品市場の調査分析:疾病構造から市場動向・将来展望まで 

ベトナムの医薬品市場の調査分析:疾病構造から市場動向・将来展望まで

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ベトナム市場調査レポート販売

ベトナムの医薬品市場の調査分析:疾病構造から市場動向・将来展望までについてのレポートを販売しています。

レポート基本情報

– ページ数(企業紹介ページを除く)25 ページ
– 発行年月日:2025年6月
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 価格:ページのフォームからお問い合わせください
– 購入方法:
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市場概況 

ベトナムの医薬品市場は近年急速な成長を遂げており、経済発展や人口動態の変化を背景に需要が高まっている。2015年には約27億米ドルだった市場規模は、2023年には70億米ドルを超え、2026年には100億米ドル(約1兆3,000億円)規模に達するとの予測もある。1人当たりの年間医薬品支出額も2005年の約9.85米ドルから2019年には約75米ドルへと拡大し、生活水準の向上と高齢化の進行が医療需要増を後押ししている。 

医療制度・保険とアクセスの現状 

ベトナムの医療制度は国民皆保険制を基本とし、公的医療保険への加入対象は全国民に及ぶ。保険適用範囲は診療・治療からリハビリ、検査、処方薬、医療用品まで幅広く、指定医療機関における医療費の85~100%が保険給付されている。保険加入率は2004年の21.1%から年々上昇し、2020年には約90.9%に達した。政府は今年2025年までに95%への引き上げを目標としている。 

しかし、依然として患者の医療費自己負担率は43%と高く、先進国(15~20%程度)と比べて2~3倍に及ぶ。政府は自己負担率を2030年までに30%まで下げる目標を掲げ、保険給付拡大や保険料率引き上げなど財政基盤強化に取り組んでいる。保険制度の整備により医療アクセスは大幅に改善しつつあるが、都市部の大病院では慢性的な過密や設備老朽化、人材不足が課題となっている。富裕層の中には高度な医療サービスを求めて年間約2億ドルを海外医療に費やす例もあり、国内医療の質向上が今後の重要課題である。 

人口動態と疾病構造の変化 

ベトナムの人口は1億人に達し、若年労働力が豊富な一方で、今後は急速な高齢化が予測される。出生率は1980年代後半の3.8から現在には2.00まで低下し、都市部では少子化が進行している。疾病構造も大きく転換しており、感染症や栄養不良による死亡が激減する一方、心疾患や脳卒中、癌、糖尿病など非感染性疾患(NCDs)が死因の大半を占めるようになった。2016年には全死亡者の約80%がNCDsによるものである。 

市場構造と規制環境 

本章は市場構造と規制環境について解説する。

医薬品流通チャンネル 

ベトナムの医薬品流通は、病院経由の処方薬チャネル(ETC)と薬局経由の一般薬チャネル(OTC)に大別される。処方薬は全医薬品市場売上の約3/4を占めており、今後も年平均8%で成長し、2028年には売上高が162兆ドン(約70億USD)に達すると予測されている。OTC市場も拡大傾向にあり、2024~2028年の年間成長率は約3.5%と見込まれている。 

国内製造と輸入品のバランス 

国内製造品と輸入品が拮抗しており、数量ベースで約70%、金額ベースで約46%は国内企業の製造によるものである。逆に金額ベースで54%程度は輸入品が占め、市場の過半数を海外製薬企業が担っている。高価な先進医薬品は外国企業が供給し、安価な汎用薬を国内企業が供給するという棲み分けが見られる。 

規制・参入障壁と外資参入 

医薬品の登録・流通には厳格な管理体制が敷かれ、申請手続きは複雑で2年以上を要することもある。外国資本の企業が自ら医薬品の卸売・小売を行うことは法律上禁止されており、現地のライセンスを持つ流通業者を通じて製品を供給する必要がある。2016年改正の医薬品法では外資企業による地場製薬会社への出資上限規制が撤廃され、M&Aを通じた海外資本の参入が可能となった。これにより日本の大正製薬や米国アボット、独スタダ社などが現地有力企業の株式を取得し、市場参画を深めている。 

製品カテゴリー別市場分析 

本章は製品カテゴリー別市場分析 について解説する。

医療用医薬品(処方薬/ETC) 

処方薬市場はベトナム医薬品業界の中核であり、公的医療保険や病院インフラ拡充に支えられて拡大している。病院で使用される治療薬の多くはジェネリック医薬品であるが、高度な新薬も輸入品を中心に流通している。政府は2030年までに国内需要の100%を供給可能な体制を目指している。 

一般医薬品(OTC) 

OTC医薬品は医師の処方なしに購入できるため、日常的な軽度の症状に対して幅広く利用されている。市販薬チャネルが医薬品消費の主要チャネルとなっており、OTC市場規模も大きく、総医薬品消費額の20%以上を占めている。日本製のOTCやサプリメントが「質が高い」として人気が上昇している。 

ジェネリック医薬品 

国内に約200社以上の製薬企業が存在し、大半は特許切れ医薬品の製造販売を手掛けている。公立病院の入札では国産品が外国製より入札価格で最大5%高くても落札可能とするローカル優遇策が取られている。品質面では課題も残っているが、トップ企業は国際的なGMP基準を取得し、周辺国へ輸出する例も増えている。 

輸入医薬品 

輸入医薬品は市場の約半分を占め、特に高度先進医薬品において重要な役割を果たしている。主な調達元はフランス、ドイツ、インド、韓国、日本などで、高血圧症治療薬や抗癌剤、ワクチン、生物学的製剤が中心である。特に癌領域は輸入薬が市場をリードしている。 

漢方・伝統医薬品 

伝統医学(東洋医学)も根強く、漢方薬市場は医薬品市場全体の数%程度と推定される。近年は中間層の拡大で「高品質でも価格が高い漢方薬」への需要が高まりつつある。 

その他高薬理活性医薬品 

生物学的製剤や免疫抑制剤、希少疾患治療薬などはほとんどを輸入に依存している。政府は公的保険の対象疾患リスト拡大や技術移転による国内生産も推進している。 

バリューチェーンと流通 

本章はバリューチェーンと流通について解説する。

原料調達 

医薬品の有効成分や添加物の90%以上を中国・インドからの輸入に頼っており、原料面での海外依存が課題となっている。政府は原材料の国産化率20%達成を目標に掲げ、製薬用原料の研究開発拠点誘致や税制優遇などを進めている。 

医薬品製造 

国内には約250か所の医薬品工場があり、そのうち228工場がWHO-GMP基準を満たしている。しかし企業の零細分散が著しく、上位10社で市場シェア合計が10%程度という分散状態である。外資との提携やM&Aにより技術力向上が進められている。 

流通・小売 

医薬品の流通チャネルは卸売業者から病院・薬局へ至る経路が一般的で、国内の医薬品卸売業者は2,300社以上存在する。小売段階には全国で約39,000軒の薬局が営業し、近年はチェーン型ドラッグストアが急速に発展している。最大手のPharmacityは約1,200店舗を展開している。 

主要企業と競争環境 

ベトナム製薬業界は分散市場であり、トップ10社でも市場シェア合計は10~15%程度である。有力な国内主要製薬企業として、ハウザン製薬(DHG)、ピメファコ製薬(Pymepharco)、トラファコ製薬(Traphaco)、ドメスコ製薬(Domesco)、イメックスファーム製薬(Imexpharm)などが挙げられる。外資系企業も多く、サノフィ、GSK、Bayer、Pfizer、Johnson & Johnson、日本の塩野義や大塚製薬などが市場で存在感を示している。 

外資企業が地場企業を買収・出資するケースも増えており、大正製薬×DHG、アボット×Domesco、スタダ×Pymepharcoなどの提携が進んでいる。 

市場トレンド・成長要因 

本章は市場トレンド・成長要因 について解説する。

経済成長と人口構造 

2024年の一人当たりGDPは4,700ドルに達し、中間所得層が拡大している。人口の高齢化が進み、慢性疾患や生活習慣病治療薬の需要が今後さらに増加する見通しである。 

 保険加入率と医療サービス 

公的医療保険の加入率拡大により、医療サービス利用が促進され、処方薬需要が拡大している。保険制度拡充と薬価政策のバランスが今後の課題となる。 

医療制度整備・民間病院の台頭 

政府は病院の増設や医療人材育成に注力し、私立病院も都市部で増加している。私立病院は最新医薬品の採用に積極的で、外資系企業にとって販売機会の拡大につながる。 

業界再編と外資参入 

2016年の外資規制緩和以降、海外企業による投資が増加し、業界再編が進んでいる。外資参入は技術や品質基準の導入を促し、国産医薬品の競争力向上にも寄与している。 

国際貿易協定の影響 

EVFTAやCPTPPなどの自由貿易協定により、医薬品関税が撤廃され、EU製医薬品の価格競争力が高まった。知的財産保護の強化も進んでいるが、一部新薬でジェネリック参入が遅れる可能性もある。 

小売チャネルの近代化 

チェーン型ドラッグストアの台頭により、全国規模での流通・販売が容易になり、品質管理と流通効率が高まっている。 

技術革新 

デジタル技術やバイオ技術の導入が進みつつあり、電子健康記録システムや遠隔診療、AI創薬、臨床試験データの電子化などが進行中である。 

医薬品輸入動向と日本企業のチャンス 

ベトナムの医薬品市場は輸入品に大きく依存してきたが、構造は徐々に変化している。2019年に約30億USD規模だった輸入額は2022年に35~40億USD程度に達し、2023年上半期には約20億USDを輸入し前年比+24%と急伸しました。欧州からの高品質薬、インドからの低価格ジェネリック、中国からの漢方生薬や原薬、日本からの専門薬など、多彩な国から輸入している。 

日本企業の参入メリットとしては、(1)市場成長の恩恵を享受できる点、(2)親日的な市場環境、(3)既存の日系プレイヤーの存在、(4)国際協力の後押しが挙げられる。一方、薬事承認プロセスの煩雑さや現地パートナーとの調整などの課題もあるが、根気よく手続きを踏めば大きなチャンスがある。 

将来の展望と課題 

今後5~10年のベトナム医薬品市場は年平均成長率8~11%で推移し、2030年前後には市場規模が現在の2倍近い150~200億USD規模に達するとの試算もある。慢性疾患領域や抗がん剤領域が特に高成長を牽引し、高齢者人口の増加に伴い治療薬需要が飛躍的に伸びると見込まれる。 

一方で、薬事規制の厳格化や医薬品価格抑制策、原材料の海外依存、医療人材の不足といった課題も残されている。政府は医療制度の改革や製薬産業の高度化、医薬品アクセスの公平化に向けて様々な政策を展開している。国際貿易協定や外資参入による競争激化も予想さるが、これらは市場の質的向上や新技術導入の契機ともなりえる。 

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資料サンプル

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本レポートはONE-VALUE株式会社の独自の調査及び
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