ベトナムはなぜ親日が多いのか?
ベトナム人と話したことがある人は比較的感じたことがある人が多いと思いますが、ベトナム人は日本への印象がとても良いように感じられます。
2016年にはベトナム政府・教育訓練省が、小学生3年生から始まる第一外国語に英語と共に日本語を取り入れるように決定しました。
ベトナムでの外国語教育については以下の記事を参照してください。
ベトナムが親日である要因は、政治的要因や歴史的背景、現代の政治や若者文化が大きく影響しています。
親日が多い理由とは?
先述したとおり、親日が多い理由にはこれまでの歴史や政府関係若者文化などの理由が挙げられます。では具体的にどのような理由があるのでしょうか。
日本企業や日本製品が多くベトナムに進出している
日本貿易振興機構JETROの調査によると、2020年、ベトナムの日本企業進出数は1985社です。
ハノイ・ベトナム北部には794社、ホーチミンには1044社、ダナンには147社が進出しており、 今後在ベトナム日系企業の多くが事業拡大の方向性を示しています。
ベトナムはASEANの中で、事業拡大の意欲の強さがトップの国であり、投資先としても魅力的とされています。
在ベトナム日系企業には、イオン、ファミリーマート、パナソニック、ホンダ、トヨタ、味の素、エースコック、ロート生薬など日本の有名な企業が多く参入しています。さらに2019年にはユニクロもベトナムホーチミン、その後ハノイにもオープンをしベトナム人から多くの注目を集めました。 特にベトナムはバイク社会なので、多くのベトナム人が「ホンダ」や「ヤマハ」などの企業名を知っている人が多くいます。
歴史的背景
西暦734年、遣唐使判官・平群広成が帰国の途上、難破して崑崙(コンロン)国に漂流し抑留されました。
そこは、当時フエ付近に京都があったチャンパ王国と見られています。その後も、753年、遣唐使藤原清河や阿倍仲麻呂が帰国の途上、同じく漂流し、当時中国領だった安南のヴィン付近に漂着しました。これが縁で阿倍仲麻呂は761年から767年まで鎮南都護・安南節度使としてハノイの安南都護府に在任した。これが、ベトナムと日本の関係の始まりとされています。
さらに17世紀初頭、ホイアンの港が開かれた時、すでに何百人もの日本の商人が住んでいたそうです。その時は、日本街と呼ばれるような居留地がホイアンにありました。その後、日本が鎖国前に日本人によって、ホイアンの街に橋がかけられており、今でもその日本橋はホイアンの観光地として残っています。
1940年、日本は現在ベトナム北部である北部仏印に進駐し、東南アジアの連合国を攻撃するため軍事基地を建設しました。1944年には、凶作とアメリカ軍の空襲によって南北輸送途絶や、フランス領インドシナ植民地政府、日本軍によって200万人以上の飢餓したとされていると言われています。
その後、第二次世界大戦後、フランスとベトナムの間では第一次インドシナ戦争がはじまり、日本兵士も多数参加しました。その際、ベトナムに残る日本兵士が多く、その中には、陸軍士官学校を創設し、ベトミン士官を養成をし、表彰された兵士も8人ほどいます。
そして、1973年に日越外交関係を樹立します。その後、一度凍結していたODAが1990年から再開されベトナムはより発展をとげ、日本との関係もより良くなってきました。
現代政治
日本とベトナムは、1973年に外交関係を樹立してから、2013年に40周年を迎え、2013年の年は「日越友好の年」となり、外交面や文化面でより深い関係となりました。
その後も良い外交関係を維持し続け菅総理就任後も、初の外遊がベトナムで日本も積極的に友好関係を維持したいという誠意が感じられます。
さらに、2017までのベトナムへのODA支援実績は、OECD加盟国の中で1位となっています。
その支援は、約70%が社会、交通のインフラ関連が占めており、病院、教育、医療などへの支援へと使用されています。
JICAによるODAによってハノイのノイバイ空港の第2旅客ターミナルビル建設やコンサルティング、技術支援、ハノイ市環状3号線建設事業のインフラ支援、麻疹や結核など 6つの感染症の予防接種などに貢献をしています。
ベトナム人の生活のより近くで支援を行っているため、ベトナム人からは日本に対して感謝の気持ちを持っている人も多く、親日へと繋がっているように感じられます。
日本のアニメや漫画などの若者文化
世界でも大人気の日本アニメ。
そんな日本のアニメはベトナムでも有名で人気があります。
日本同様、特に小学生から高校生に人気が高く、多くの子供達は日本のアニメを知っています。ベトナムのテレビでは日本の番組放送数が増えており、その中でアニメは一番高い割合です。
過去に放送されたアニメは「ドラえもん」「名探偵コナン」「ちびまる子ちゃん」があり、どれも高い視聴率を獲得しています。特に、ベトナムでは、漫画の普及率も高いです。
そもそもベトナムは、1960年代後期、娯楽や教育プロパガンダなどに漫画が用いられており、その頃から人気があったようです。1992年Kim Dong出版社によって、「ドラえもん」がベトナムに輸入され、それがベトナム初の日本の漫画の販売となりました。その後、4万部以上販売され、その後「美少女戦士セーラームーン」や「ドラゴンボール」など日本の漫画が普及されるようになりました。
ベトナムの街中にも日本ブランドや日本食レストランが多い
前述した通り、ベトナムには多くの日本企業が参入しています。
その中に飲食店も多く参入しており、すき家やはなまるうどん、ちよだ鮨などの有名店から日本料理店、居酒屋なども多く健在します。
さらに、ハノイ市内にはキンマー通り、ホーチミンにはレタントンという日本食店が多く並ぶいわゆる日本人通りと呼ばれる通りもあります。
そのため、現地のベトナム人も日本食、日本語に触れる機会も多く日本への親しみが生まれているのでしょう。
日本への印象が老若男女良い
ベトナム人の人と話していると、日本への印象が老若男女良いことが感じられます。
しかし、歴史を遡ると、 日本がベトナムを侵略していた期間もありましたが、現在その矛先は中国、フランスに向いているようです。現在も日本人の性格や気質を好きな人も多く、韓国人や中国人と差別されることがごく稀にあります。アパートメントやホテルなど、日本人は部屋を綺麗に使ってくれるから嬉しいという話もよく聞かれます。
まとめ
ベトナムに親日が多い理由は上記であげた以外にも多くあり、様々な所で日本と似ている部分もあるベトナム。
そして、2023年で日越外交樹立50周年となります。
日本はベトナムへのコロナワクチンを約200万回提供するなど、今後も外交関係がより良くなっていくでしょう。
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