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経済動向ベトナム経済

ベトナム経済分析レポート:最新動向と2025年・2026年将来予測 

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ベトナム経済分析レポート:最新動向と2025年・2026年将来予測についてのレポートを販売しています。

レポート基本情報

– ページ数(企業紹介ページを除く)約30 ページ
– 発行年月日:2025年5月
– 発行:ONE-VALUE株式会社
– ファイル形式:PDF形式
– 価格:ページのフォームからお問い合わせください
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 はじめに 

日本企業の海外展開において、近年ベトナム経済が注目を集めている。本レポートはベトナムの最新経済動向と2025~2026年の将来予測を分析し、日本企業がベトナム進出を判断するための材料を提供することを目的とする。ベトナムはASEAN有数の高成長市場であり、中間層の拡大により消費市場としての魅力も増している。実際、2023年にJETROが行った調査では、日本企業に対する調査ではベトナムは米国に次いで「最も有望な投資先」と位置付けられ、2023年に日本からベトナムへのFDIは約65.7億ドルと全体の17.9%を占め第2位であった。このようにベトナム経済は市場・生産拠点の双方で日本企業にとって重要性を増している。 

以下では主要な経済指標の現状と2025~2026年の見通し、政府の政策動向、課題と重要トピック、主要業界動向、国際情勢の影響を順に整理し、最後に日本企業への示唆を述べる。 

 ベトナム経済指標の2025~2026年の見通し 

本章はベトナム経済指標に2025カラオケ2026年の見通しについて解説する。

 GDP成長率と規模 

ベトナムはコロナ禍後に力強く回復し、2022年はGDP成長率8.02%を記録した。2023年は世界需要減速などで成長率5.05%とやや低下したが、2024年は内需と製造業の牽引で約7.1%の高成長を達成した。名目GDPは2023年に約4,330億ドル(世界第34位)に達し、2025年には5,000億ドル超と予測される​。IMFは2025年の成長率を6.1%と見込んでおり、これは地域主要国より高い水準にある​。政府もさらに高い7.0~7.5%の成長を目標としている​。 

 1人当たりGDPと人口 

1人当たりの名目GDPは2023年に約4,100ドルとなり、2024年には4,700ドルに上昇した​。2025年には約4,900ドルに達する見込みである​。人口は2023年に1億人を突破し、2025年には約1億に達する見通しである​。豊富な労働力と若い消費者層は中長期的な成長の原動力となっている。失業率は公式統計で2%前後と低く、IMFも2025年は2.0%程度と安定推移を予測する​。 

 産業構造 

2024年のGDP構成はサービス業42.3%、工業・建設37.6%、農林水産11.9%となっており、サービス業が最大の比重を占めた。製造業を中心とする工業化とサービス経済化が着実に進んでいる。 

 貿易とFDI 

ベトナムの2024年の輸出入総額は7,862.9億ドルに達し、前年比15.4%増加し、そのうち輸出は14.3%増の4,055.3億ドルとなり、輸入は16.7%増加し3,807.6億ドルとなった。貿易黒字は約248億ドルに達した。2024年には輸出が大きく反発し、貿易黒字も継続した。主力輸出品はスマートフォン、電子機器、衣料、農水産品などである。旺盛な外国直接投資(FDI)が輸出競争力を支えており、2024年の登録ベースFDIは約382億ドルに達し、前年比3.0%減少したが、実行額ベースFDIは約254億ドルに達し、前年比9.4%増 となった​。国別では日本がシンガポールに次ぐ投資国であり、引き続き成長のエンジンとなることが期待される。 

 人件費・インフレ・為替 

ベトナムの平均賃金水準は月額300ドル程度と中国沿岸部の半分以下で、安価な労働力は依然競争力である。政府は最低賃金を毎年5~6%程度引き上げており、人件費は緩やかに上昇している。インフレ率は2023年平均3.2%、2024年3.6%と安定しており、IMFは2025年も3.5%程度と予測する。通貨ドンは概ね安定している。2024年末時点で1ドル=約25,000ドンと前年より約4.5%のドン安水準だったが、大幅な貿易黒字と十分な外貨準備高に支えられ、為替リスクは抑えられている。 

 ベトナム経済は2025~2026年も年6~7%の堅調な成長が予想され、高成長市場である。人口1億人を超える市場規模と比較的低廉な労働コストは、生産拠点および消費市場の両面で日本企業に好機をもたらす。ただし賃金上昇も進んでいるため、中長期的には生産性向上や付加価値化による競争力確保が課題となろう。  

ベトナム政府の政策動向(10ヵ年戦略と5ヵ年計画) 

ベトナム政府は中長期ビジョンとして「2021〜2030年社会経済発展戦略(10年戦略)」と「2021〜2025年社会経済発展計画(5年計画)」を掲げている。2021年の共産党大会で採択された10年戦略では、2030年までに「近代的工業国へ成長する」こと、2045年までに「高所得先進国となる」ことを国家目標とした​。その実現に向け、制度改革、インフラ整備、人材育成という3つの戦略的突破口に重点を置いている​。5年計画では年平均GDP成長率6.5~7%、2025年に一人当たりGDP4,700~5,000ドルへの引き上げなどの主要目標が定められた​。新型コロナの影響で成長率が一時落ち込んだものの、2024年までに経済は概ね回復し、政府は2025年を「計画目標達成の加速の年」と位置づけて成長率目標を8%に引き上げる。 

政策面では輸出市場の多角化、外資誘致、官民パートナーシップ(PPP)によるインフラ投資、国営企業改革、デジタル経済促進、グリーン成長などが重視される。2023年には土地法や住宅法の改正が行われ、土地利用や不動産開発の制度改善に踏み出した。また対米・対欧関係の強化によりハイテク分野の投資誘致も進んでいる。これら政策努力はビジネス環境の向上につながり、中長期的に民間投資を後押しすると期待される。 

政府の長期ビジョンはベトナムが将来高所得国へ脱皮する強い意志を示す。日本企業はインフラ、人材、デジタル、環境といった重点分野で協力し、現地政府との連携を深めることで事業機会を広げられる。また法制度改革や産業政策の動向を常に把握し、自社戦略に反映させることが重要である。政府方針と合致した投資は支援を得やすく、長期的なリターンにつながるだろう。 

経済と投資環境の展望 

ベトナムのマクロ経済は2025~2026年も力強い成長が見込まれる。IMFや世界銀行は成長率6~7%台を予測しており​、地域内でも高水準である。輸出や観光の回復が成長を支える見通しだ。政府は公共投資拡大や消費刺激策で景気下支えも図っている。ただし主要輸出先の景気後退や保護貿易的な動きは下方リスクとなる。世界銀行も「輸出主導のベトナム経済は米国による関税措置や貿易戦争激化のリスクに直面している」と警鐘を鳴らす​。投資環境は総じて改善傾向にある。近年、行政手続の電子化や規制緩和が進み、国際機関のビジネス環境ランキングでも順位が上昇してきた。政治的安定性も高く、長期投資に適した環境が整いつつある。 

ベトナム経済の課題と重要トピック(行政改革、国営企業民営化) 

高度成長を続ける一方、ベトナム経済には持続発展のため解決すべき構造課題もある。ここでは行政機構の改革と国営企業(SOE)の民営化という2点を取り上げる。 

 行政・省庁改革 

2025年初め、ベトナム国会は政府機構改革として中央省庁数を30から22へ削減し、公務員の20%削減を盛り込んだ大胆なリストラ策を承認した。長年続いた大規模官僚組織をスリム化し、汚職や非効率を是正する目的で「革命的」とも評される取り組みである​。複数の省庁統合と幹部人事の刷新が行われ、トー・ラム共産党書記長は「弱い官僚の避難所にはさせない」と述べている​。この急激な改革には副作用への懸念もあり、職員の士気低下や行政の一時的停滞を招く恐れも指摘される​。政府はこうした弊害を最小化しつつ、透明で効率的なガバナンス確立に努める必要がある。 

 国営企業の民営化(株式化) 

ベトナムでは依然多くの国営企業が経済を占めるが、生産性向上のため民営化が課題である。近年、その進捗は著しく鈍化している。2023年は中央政府所管の大手SOEで新規株式化(上場)が実現せず、国有資本の売却額も約593万ドルに留まった​。複数の株式化予定企業が手続き停滞で実現に至らなかったことに起因する。背景にはSOEが保有する土地資産の扱いが障壁となっている点が大きい。土地利用計画の承認遅れなど手続き上の問題で、企業価値評価と投資誘致が進まないケースが続出している​。加えて不透明な債務や冗長な人員を抱えるSOEも多く、投資家の敬遠につながっている。政府・財務省は制度面の改善や承認プロセスの簡素化に着手しており、SOE改革の進展が経済の効率化と民間部門の拡大に直結すると認識している。 

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ホー・ドゥック・フック副首相が企業革新・開発運営委員会の会議を主宰 
出所:Bao dien tu chinh phu 

行政改革とSOE改革はいずれもビジネス環境の改善につながる取り組みであり、日本企業にとってメリットが大きい。行政手続の簡素化や汚職リスク低減により、今後投資プロジェクトの実行性は高まるだろう。ただし改革移行期には許認可遅延など揺れ戻しもあり得るため、最新情報のフォローと柔軟な対応が欠かせない。またSOE民営化の加速により、新規参入や企業買収のチャンスが生まれる可能性もある。日本企業はこれら構造改革の動向を注視し、積極的にビジネスチャンスを見出す姿勢が重要である。 

主要業界別の市場動向(不動産、エネルギー、建設、小売) 

次に、注目すべき主要産業分野の最新動向を概観する。不動産、エネルギー、建設(インフラ)、小売の各分野はいずれも日本企業に関連深い。 

  

 不動産(住宅・商業) 

近年、ベトナムの不動産市場は急拡大と調整局面を経験した。2020~2021年は住宅需要が高まり価格が高騰したが、2022~23年は政府の債券規制や金融引締めの影響で開発業者の資金繰りが悪化し、市場は一時停滞した。しかし2024年には政府の金融緩和策や規制見直しで市場安定化の兆しが見え、回復が鮮明となった。2024年に休眠状態から事業再開した不動産企業は前年比42%増の3,227社に達し、倒産件数も大幅に減少した​。また2024年後半に成立した改正土地法・住宅法・不動産業法の「3法」が市場にプラス効果をもたらし、ハノイ郊外で土地競売が活発化するなど回復を後押しした​。ただ高価格帯偏重やデベロッパーの財務問題など構造的課題も残り、政府は住宅ローン金利引下げや社会住宅供給を進め、市場の健全な発展を促そうとしている。 

 エネルギー(電力) 

電力需要の急伸に対応するため、エネルギー分野は最大の投資拡大領域である。政府は2023年に国家電力開発計画8(PDP8)を承認し、2030年までに発電容量を倍増させる目標を掲げた(2025年4月に改訂版を承認)。特に風力・太陽光など再生可能エネルギーの拡大が重視されている。長期的には石炭火力の新増設停止と2050年までのカーボンニュートラル達成を目指す方針も示された。現在、国内外から再エネ・LNG火力分野への投資が活発化しており、電力制約の解消は製造業発展の前提条件である。日本のエネルギー技術への期待も高い。 

建設・インフラ 

経済成長と都市化の進展により、インフラ需要が急増している。高速道路や空港、都市鉄道など大型プロジェクトが各地で進められており、政府の強力な推進の下で建設業は高成長を続けている。道路、港湾、空港、都市交通、水インフラなど幅広い分野で案件が目白押しで、建設関連企業にとって商機が大きい。ただ、土地収用や行政手続きの遅れなど課題もあり、政府は早期解決に努めている。 

出所:VNExpress 

 小売店・消費財 

人口増と所得向上により、国内消費市場が活況である。2023年の小売売上高(サービス含む)は前年比+9.6%と堅調に拡大した​。旅行・外食などサービス消費の急回復が経済成長を後押しした。都市部を中心に中間所得層が増加し、耐久消費財や娯楽への需要が拡大している。流通業では日系を含む外資小売企業の展開が活発で、イオンモールは大型店網を拡大中で、コンビニも都市部に浸透しつつある。消費財市場は今後も拡大が見込まれ、外国企業にとって有望な市場だ。 

各業界で日本企業の参入余地は大きい。例えばエネルギーの再エネ事業やインフラ建設受注、消費財の流通拡大などが挙げられる。現地パートナーと協力し、日本の強みを活かした事業モデルの展開が成功の鍵だ。 

政治・国際情勢の影響(トー・ラム体制、米中関係・トランプ政権) 

本章は政治・国際情勢の影響(トー・ラム体制、米中関係・トランプ政権)について解説する。 

 トー・ラム新体制 

2024年には最高指導者が交代し、公安畑のトー・ラム氏が共産党書記長に就任した​。汚職摘発が一段と強化されているが、政策の連続性は維持され、政治の安定性も高い。 

 米中関係とトランプ政権 

ベトナムは米中双方と友好関係を維持しつつ、米中対立から経済的利益を得てきた。米中貿易戦争下の2018年以降、中国からの生産移転が加速し、ベトナムの対米輸出は大幅に増加した。一方で対米貿易黒字の急拡大により2020年には為替政策を問題視される事態もあった。2025年に成立したトランプ米政権は保護主義色が強く、対中追加関税など通商政策がベトナムに波及し得る。高関税が続けば生産移転ニーズ増大でベトナム輸出は恩恵を受ける反面、迂回輸出への制裁リスクもある。また対越貿易赤字是正の圧力が高まり、輸出管理強化や輸入拡大要求がなされる可能性も指摘される。さらに米中対立激化による世界経済の減速は外需に依存するベトナムに向かい風となり得る。それでもベトナムは2023年に対米関係を包括的戦略パートナーシップに格上げし、中国とも高位の外交関係を維持している​。巧みなバランス外交で経済発展に必要な安定環境を確保しようとしている。 

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4月9日のホー・ドゥック・フック副首相とスコット・ベセント財務大臣との協議様子 
出所:BBC 

国際情勢の変化はリスクと機会の両面をもたらす。米中デカップリングの潮流は生産拠点としてのベトナムの重要性を高め、日本企業の「中国+1」戦略を後押しする。一方で米国の通商政策変更や地政学リスクの高まりには注意が必要だ。日本企業は貿易摩擦や為替変動の影響を注視しつつ、サプライチェーン再編や現地調達拡大など柔軟な対応でリスク分散を図りたい。幸いベトナムの政治は安定しており、政府も外資誘致に前向きである。この環境を追い風に、戦略的にベトナム事業を展開していく好機といえる。 

おわりに 

ベトナム経済は力強い成長と安定した環境により、日本企業にとって極めて魅力的な投資先であり続けている。人口動態や政府の産業振興策を踏まえれば、中長期的にも高い成長余力が期待できる。一方、行政改革や国際情勢の変化など注意すべき点も存在する。日本企業はベトナムの最新動向を継続的にウォッチし、機を捉えて積極果敢に進出・拡大すると同時に、リスク管理や現地適応を徹底することが重要である。現地政府や企業との信頼関係構築に努め、相互にメリットある形でビジネスを展開することが重要である。 

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資料サンプル

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本レポートはONE-VALUE株式会社の独自の調査及び
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