ベトナム政府は2050年のネットゼロ達成を目標に、エネルギー転換の加速を図っている。2025年7月29日、ハノイで開催された「新時代のエネルギー技術フォーラム」にて、ベトナムエネルギー協会のグエン・アイン・トゥアン博士は、再生可能エネルギーの発展可能性は高い一方、制度・インフラ・技術・人材の課題を総合的に解決する必要性を強調した。国際的にはRRA、RISE、ETIなど複数の指標で各国の再エネ準備度が評価されており、ベトナムは中位以上に位置する。電力計画第8次改定では風力・太陽光を重点分野とし、土地・海域使用料の免除、系統接続優先、グリーン水素発電への特別優遇、DPPA制度導入など投資環境改善策を整備している。
2024年時点で太陽光は16.5GW(全体の25%)、風力は6GWに達し、水力は23.6GW(31%)と最大の低炭素電源だが拡大余地は小さい。バイオマスは0.42%と低水準に留まる。再エネ85件の移行案件のうち81件が価格交渉を完了し、29件が商業運転を開始している。一方、送電網の制約により太陽光出力抑制や系統接続遅延が発生しており、民間参入拡大と蓄電容量1.0〜1.6GWの整備が急務である。
博士は課題として、電力価格制度の不安定さによる投資家の信頼低下、人材不足、R&D投資の低水準(GDP比0.4%)を指摘。改善策として①安定的な電力価格と競争入札導入、②送電・蓄電インフラ整備、③国内技術開発とサプライチェーン強化、④高技能人材育成、⑤JETP資金やDPPA、PPPを通じた民間・国際資金調達を提案した。ベトナム政府は2030年までに家庭の50%が自家消費型屋根太陽光を導入する目標を掲げ、再エネ比率74〜75%、原子力14GW、グリーン水素年間1,000〜2,000万トン体制を構築する方針である。
ベトナム経済・ビジネス関連の有料レポートはこちらからもご覧いただけます。


