TSMCの米国投資とベトナムへの波及が注目される半導体戦略
TSMCの会長兼CEOであるC.C.ウェイ氏は、アメリカ・アリゾナ州における新たな製造施設の建設に向けた巨額投資を発表した。この投資は、AI分野における高度な半導体チップの生産強化を目的としており、人工知能技術の急速な発展を後押しするものである。これにより、TSMCによるアメリカでの総投資額は約1650億ドルに達する見通しである。
TSMCは以前よりアメリカ国内での生産能力拡大を進めており、CHIPS法の支援の下で66億ドルの補助金を受けている。背景には、TSMCが台湾に製造拠点を集中させていることへのアメリカ政府の地政学的な懸念があり、特に中国との緊張関係を踏まえて、アメリカ政府は高度な半導体製造を国内回帰させる必要性を強調してきた。
アメリカのトランプ大統領は、海外生産された半導体製品への高関税措置を打ち出し、製造業のアメリカ回帰を推進する姿勢を示していた。また、CHIPS法に対しても強化が必要と主張し、見直しを示唆していた。しかし専門家の間では、こうした強硬路線はアメリカ国内のAI開発の進展を妨げる可能性があると指摘されている。
Futurum GroupのCEOであるダニエル・ニューマン氏は、TSMCの投資がアメリカ政府の関税政策や特定の条件と結びつけられる可能性に言及し、今回の大規模投資はTSMCによる戦略的かつ友好的な姿勢の表れであると述べた。
TSMCはすでにアメリカ国内にいくつかの工場を持ち、アリゾナの施設では2024年末に量産が開始された。しかし、最先端の製造ラインは依然として台湾に留めており、それがワシントンの懸念材料となっている。
このような中、ベトナム政府やベトナム商工省、ベトナム企業にとっても、今後の半導体供給やデジタルインフラ整備の在り方を検討する上で、TSMCの動向は重要な参考事例となる。アメリカにおける半導体製造の強化は、グローバルなサプライチェーン再構築において、ベトナム国内の産業戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
