半導体拠点化を目指すベトナムの成長戦略と課題
ベトナム政府は、ベトナム国内における半導体産業の発展を国家戦略として位置づけ、ベトナム商工省を中心に多方面での支援を進めている。世界的に需要が高まる半導体市場の中で、ベトナムは安定した政治体制、地理的優位性、豊富な労働力資源を活かし、外資系半導体企業の投資先として注目を集めている。
ベトナム国内にはすでにSamsung、Amkor、Infineon、Intelなどの大手半導体企業が進出しており、2024年末時点でベトナム国内の半導体産業の市場規模は約61億6,000万ドルに達している。とくにSamsungは東南アジア最大の製品開発拠点をハノイに設置し、またオランダのBE Semiconductorもホーチミン市に進出するなど、投資は拡大を続けている。
ベトナム政府は、半導体分野における高度人材育成を重視しており、「半導体産業発展戦略(2030年まで、2050年を展望)」に基づき、第一段階では5万人、次の段階では最大10万人の技術者育成を目標としている。これを支援するため、2024年12月には「ハイテク投資支援基金」に関する政令を発出し、ベトナム企業に対して人材育成費の最大50%、研究開発費の最大30%の補助を行うとした。
一方、半導体産業の持続的発展には課題も残っており、ベトナム企業の中核技術における自立性の低さ、人材の質と量の不足、国際競争力あるインフラや研究基盤の整備不足が指摘されている。さらに、シンガポール、マレーシア、インドネシアなど、先行するアジア諸国との競争も激化している。
ベトナム政府はこれらの課題に対処すべく、研究機関との連携や国際企業との技術共有を進めるとともに、AIや半導体分野でのエコシステム構築を目指しており、NVIDIAとの協定によるAI研究センター設立など、グローバル企業との連携も加速している。これにより、ベトナム国内の半導体産業は将来的にASEANの中核的拠点へと成長する可能性を持っている。
