ラオカイ省の特徴
本レポートでは、ベトナムのラオカイ省の概要を網羅的に解説する。
地理
ラオカイ省は山間部にあり、ベトナム西北部と東北部の真ん中に位置する省である。ハノイから鉄道距離で296キロ、道路距離で345キロ離れている。面積は6.383,88 km2(全国の2,44%で、64省で19位の大きさ)である。東側はハザン省、南側はイエンバイ省、西側はライチャウ省、北側は203キロの国境線で中華人民共和国雲南省に接する。
人口
ラオカイ省の平均人口は2021年は約76,2万人で、63省中54位にランクされ、人口密度は120人/㎢である。そのうち、都市人口が20,2万人(26,49%)で、農村人口が56万人(73,51%)であり、男性人口が38,7万人(50,81%)で、女性人口が37,4万人(49,19%)である。
労働資源と平均給与
2021年、15歳以上の生産人口は約38,3万人で総人口の49,4%を占め、そのうち食上訓練を受けた労働力は24,6%である。
地域別最低賃金は最高がラオカイ市(地域II)で416万ドン/月であり、より困難な地域(地域IV)が325万ドン/月である。
インフラ
アンザンはメコンデルタの上流に位置し、重要な国内および国際的な地域間輸送のための便利な水路とラオカイ省は道路、鉄道、水路の3つの交通システムがある。2022年以降、空路の開発にも着手するため、サパの空港の工事を開始する予定である。
同省には、全長445キロの5本の国道、ラオカイ省における長さ72キロのノイバイ・ラオカイ高速道路、全長973キロの16本の地方道、約 9千キロのコミューンと村をつなぐ道路がある。
また、鉄道は全長約120キロ、軌間は1000㎜である。
同省を通る河川には、交通に利点を持つ紅河とチャイ川という 2 つの主要なルートがあるが、この地域の河川には、まだ投資がなされておらず、多くの滝や急流がそのままとなっている。
対外交通に関しては、ラオカイの運輸業は雲南省(中国)と密接な関係を持つ。
産業の強み
ラオカイ省には、総面積1285ヘクタールの3所の工業団地、15929ヘクタールの1所の国境経済地区がある。2022年初期時点、工業団地と国境経済地区に279件のプロジェクトを誘致し、総額は38万億ドンである。そのうち248件が稼働中、2件が工事中、3件が手続きの対応中である。ほとんどのプロジェクト(90%)は小規模で、約10%は大規模プロジェクトである。規模が大きな案件はタンロン工業団地に集まり、冶金、化学薬品、肥料などの分野に集中している。
工業団地名 | 面積(ha) | 主な産業 |
ラオカイ国境ゲート経済地区 | 2.734,48 ha | 建設業、生産加工業、加工用の土地は約 450.73 ヘクタール、物流サービス用の土地は約 217.60 ヘクタール、国境サービス用地は約 258.01 ヘクタール、娯楽・スポーツ・観光サービス用の土地は約 344.46 ヘクタール、管理用土地は約45.96ヘクタール、農村部の土地は約 346.43 ヘクタール、都市建設用地は約1,071.29ヘクタール。 |
タンロン工業団地 | 700 ha | 工業生産、肥料製造業、化学薬品製造業。ラオカイ省の紅河の両側にある都市の文化的、経済的、社会的中心となっている。 |
北ズエンハイ工業団地 | 85 ha | 手工芸品製造業、一般機械器具製造業、家電製品製造業、農林機械製造業、自動車修理業、電子機器、電化製品およびサービスの製造業、倉庫業 |
東フォーモイ工業団地 | 80 ha | アグロフォレストリー製品加工業、輸出入商品の倉庫保管業、クリーン産業 |
ラオカイ省の経済発展状況
本章では、ラオカイ省の経済を解説する。
経済発展
2021 年のラオカイの GRDP の規模は、62 兆 7,030 億 VND に達した。一人当たりの GRDP は 年間で8,268 万 VNDに達し、北部ミッドランズ省と山岳省の中で 2 位になった。
同省は鉱物資源が豊富な地域である。また、ラオカイは、全国の冶金、化学、肥料の中心地の 1 つである。鉱物の加工工場は優先的に投資され、多くの工場が稼働し、効率化を促進している。例えば、タフォイ銅精錬工場は精鉱生産能力が年間で3,5万 トン、バンクア銅精錬工場は生産能力が年間で2万トン、第2 DAP肥料工場は年間生産能力が33万トン、ラオカイ鉄鋼工場は年間生産能力が50万トンである。
ラオカイは水力発電の発展可能性を有している。水力発電開発は同省の社会経済開発に重要な貢献を果たす。同省には67件の水力発電プロジェクトがあり、総容量は1,063MW、電力を全国送電網に供給している(コミューン、区、町、村の 100% が全国送電網を使用でき、世帯の 97% が電力を利用できる)。また、下流地域にとって重要な水源も提供している。
ラオカイは、北西の中心に位置し、多様な自然景観と豊かでユニークな民族文化を持つため、観光に大きな強みを有する。ラオカイには、国内外で有名なサパ国立観光地があり、ムオンホア、ナムカン、チュンチャイ (サパ) 、Ma Sao、Muong Hum (Bat Xat) の典型的な段々畑など、地形は多様で、多くの美しい景観がある。それに伴い、洞窟、川なども観光開発のリソースとなっている。
企業数
統計局によると、ラオカイには 2021 年末時点、 営業中の企業が3052 社あり、そのうち 604社が新規登録企業である。
ラオカイで最も投資されている分野は、鉱業、肥料生産、建設資材、林産物加工、ハイテク農業、エネルギー(水力発電、太陽光発電など)である。
投資誘致のプロジェクト
鉱物と国境ゲートの優位性を生かすとともに、同省は国境ゲート経済地区と工業団地を拡張し、加工、製造、エネルギー産業の分野への投資を誘致する予定がある。さらに、農業、林業、漁業の分野も、環境保護に関連し、大きな企業や投資家が共同して利用できるようにするための優先分野となっている。
ラオカイ省における日本企業の投資状況
2022年6月時点、有効なFDIプロジェクトが26件あり、登録総額が6億8582万ドルに達した。2020~2030年の間にラオカイ省への投資予定総額は125万億ドンに達する。投資が集中する分野は、同省の強みである国境ゲート経済、都市開発、インフラ整備、リゾートツーリズム、農業などである。これらは海外投資家、特に日本投資家を誘致している。
ラオカイ省は投資が順調に進むような条件を整え、同省に投資を促進する日本企業に対する支援を行っている。
関連情報
- アンザン省の企画投資局
サイト: https://skhdt.laocai.gov.vn/
住所: Tran Hung Dao通り、Nam Cuong、Lao Cao
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