はじめに
今回はベトナム北部に位置しているIT人材に特化した人材サービス会社(仮名:LOTUS社)売却案件を紹介する。同社は日系企業を始めとする現地の大手クライアントに対して、優れたIT人材を紹介、ラボ型開発の形で提供している。今後同社がさらに事業を拡大していくにあたって、日本企業からの出資を受入れたい方針である。本レポートをご覧いただき、LOTUS社への投資を検討されたい場合は、編集部までお問い合わせいただけると幸いである。
売却企業の紹介
LOTUS社は2017年に設立され、本社はベトナム北部に位置している。IT人材の紹介・派遣およびIT人材に特化した求人ウェブサイトの運営を主要な事業とする。現地で大手IT企業の様々なニーズに応え、優れたIT人材の提供を行っている。その優れた業績により、2023年にアジアパシフィック地域におけるトップ企業として認められている。同社は今後の事業成長に寄与するシナジー効果を持つ投資家を探している。
社名 | LOTUS株式会社 |
設立 | 2017 |
事業内容 | IT人事紹介、IT人事派遣、IT求人媒体の運営 |
本社所在地 | ベトナムの北部 |
売上高 | 24 billion VND (約1.4億円) (2021) |
税引前利益 | 8 billion VND (約46百万円) (2021) |
従業員数 | 40~60 |
株主構成 | CEO: 49%, A者:51%, B者:1% |
譲渡比率 | 100% |
企業価値評価 | 5~7百万ドル |
売却スケジュール | 2023年内クロージングを希望 |
IT人材に関する提供サービス
LOTUS社はIT人材に関するサービスの3つを提供している市場で唯一の会社である。
・IT人材紹介
・IT人材派遣
・IT求人媒体の運営
LOTUS社は常に100名の人材リクルーター(業務委託契約者を含める)が稼働し、優秀なIT人材の探索を行っている。SE、プログラマー、ブリッジエンジニア、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント等の幅広い職種を扱っている。
IT求人媒体
LOTUS社はIT求人媒体を運営している。現在4,000社以上が求人媒体で求人掲載を行っている。103,000人の求職者がLOTUSのIT求人媒体を訪問した。ベトナムにおいて求職者にリーチするためにはSNSが不可欠である。現在、LOTUS社が運用するSNSのフォロワーは13,000人を見込む。
IT人材派遣
LOTUS社は人材要件の厳しい大手銀行にも長年派遣の実績を有している。派遣契約は平均2~3年間であり、派遣事業は売上の30%を占める主要な事業である。
Lotus社のアピールポイント
LOTUS社の競争優位性を考慮し、以下のように同社の強みを詳細に紹介する。
膨大なIT人材データベース
LOTUS社は約300,000のデータベースを有している。その内に
・IT技術者の登録者数:200,000人
・IT人材求人媒体の求人数:95,000人
現地で最も大手IT企業であっても200,000人のデータベースであるため、業界トップに匹敵する豊富な人材データを有する。
利益率が高いビジネス
リクルーターは一部大学生やフリーターを採用し、2週間の研修を受けた後、応募者の募集を行う。こうしたリクルーターはLOTUS社の正社員ではなく、業務委託契約を結んでいる(コミッションフィーを支払う)ため、人件費を低くこさえることができている。一方、クライアントに支払われたIT人材紹介の報酬は高額であるため、利益率が高い要因を見られる。
大手IT企業のクライアント
LOTUS社のクライアントは現地における大手IT企業である。その内に、日系と外資系企業はクライアントの数に70%を占める。代表的な日系企業としては、パナソニック社、東芝社、富士通社などを挙げられる。内資系企業は大手銀行と大手IT企業が多い。
業界No 1を目指す
2024年~2028年の次の戦略を実施し、業界のNo 1を目指す。
・IT人材紹介、IT人材派遣、IT求人媒体運営の3つのサービスを提供する市場で唯一の企業の強みをさらに強化する。ゴールドレベルの顧客を対象に、年間売上高の目標は平均85,000ドルから300,000ドルである。また、2024年から2028年までの売上高成長率の130%を目指す。
・海外市場での人材紹介サービスの拡大を目指す。現在中国市場への進出を試みている。
・自社の人材プールを育成し、市場の需要に迅速に対応し、従来営業モデルと差別化する。
・新卒生のキャリアパスというコンサルティング・サービスの展開により、応募者とIT求人媒体への訪問者の増加を目指す。
・AIの技術を活用し、応募者が投稿した履歴書(CV)を評価する機能を導入し、応募者とIT求人媒体への訪問者数の増加を目指す。
売却の理由
創業者は会社の発展にこれまで貢献してきたが、今後は家族のために時間を費やすために売却を検討している。LOTUS社は100%会社の売却を希望している。しかし、売却後の事業の引継ぎにサポートするため、創業者のリテンションは相談が可能である。創業者のリテンションに伴い、CEOの持ち分を一部保留することが可能である。
投資家への期待
・外資企業のパートナーを迎え入れることで、同社の事業をより成長させることを期待される。
・外資企業による人材サービスのノウハウ、社内管理体制を導入することにより、より会社が効果的に事業を拡大させることができる。
シナジー効果
LOTUS社へ投資から期待されるシナジー効果は、以下が挙げられる。
急成長するIT人材市場へのアクセスと、既存顧客へのクロスセル
LOTUSの買収により、ベトナムの急成長するIT人材市場にアクセスしやすくなる。特に需要を満たしきれていないIT人材の市場を獲得することで、既存の顧客に対してこれまでの人材サービスの加えて、IT人材採用・活用の提案が可能になる。
IT人材サービスのグローバル展開戦略の一環
IT、テック系サービスが日々急成長するグローバル経済においては、日本だけでなく世界中の国でIT人材需要が益々高まることが予測される。ベトナム市場でIT人材の獲得をし、海外市場に人材紹介又は派遣を行うことが可能となる。
自社のIT人材確保のコスト削減および技術力の向上
ベトナムには若くて優秀なIT人材が多くおり、多くの日本企業もベトナムIT人材の採用・活用を促進する。しかし、外部サービスを活用したIT人材の確保は大きなコストがかかる。LOTUS社を買収することで、自社のシステムを開発・維持するためのIT人材の確保にもつながる。
ベトナム市場におけるブランド力の向上
訪問者数が多いIT人材求人媒体を買収することで、ベトナム人材市場におけるブランド力を益々向上させることが期待できる。これにより日系・外資・内資企業の新規顧客の獲得へとつながる。
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