ビンズオン省の特徴
本レポートでは、ベトナムのビンズオン省の概要を網羅的に解説する。
地理
ビンズオン省はベトナムの東南部地域に属し、南部重要経済地域に位置している。北はビンフォック省、南はホーチミン市、東はドンナイ省、西はタイニン省およびホーチミン市の一部地区と隣接している。
人口
2021年現在、ビンズオン省の人口は2,627,195人、人口密度は911人/km2。その内、都市人口が79.87%、農村人口が20.13%を占めている。ビンズオン省はベトナムで最も都市化率の高い省である。
労働資源と平均給与
2021年のデータによると、ビンズオン省の労働者数は約120万人である。同省は産業が発展しているため、ベトナムの他の省・市からの出稼ぎ労働者が多く、これらの出稼ぎ労働者はビンズオン省の労働者総数の85%を占めている。
地域別最低賃金:Quy Nhon市(III地域)が最も高く、364万VND/月、残りの地方(IV地域)は325万VND/月。
ビンズオン省は2021年、ベトナムで最も一人当たりの所得が高い省となり、712万VND/人/月で、全国平均の1.8倍である。しかし、1,000万VND/月を超える所得を持つ労働者は少数である。
インフラ
道路:ビンズオン省には、国道13号線、14号線、ホーチミン道路、アジア横断道路などの幹線道路が通っている。ビンズオン省はタンソンニャット国際空港と海港から10-15kmの距離にある。これは、同省が様々な面で社会経済を発展させるための好条件であり、特に加工産業とハイテクノロジーの分野で有利である。
水路:省内には多くの大きな河川が流れ、南部の主要港とつながっており、メコンデルタの他の省との物資の交流路となっている。
産業の強み
ビンズオン省は、産業開発を支援する政策を導入している。同省は工業団地に投資するために、好立地への資金を確保した。同省の産業開発戦略は、高付加価値で環境に優しく、労働集約度の低い製造業、多国籍企業のバリューチェーン連携を目指している。
工業団地の数:2021年時点、ビンズオン省には29の工業団地があり、そのうち27の工業団地は総面積12,670.5ha、稼働率は87.4%に達している。また12の産業クラスターは総面積790ha、稼働率は67.4%である。
土地賃貸価格: 60 – 140 USD/m2 で、工業団地により異なる。近代的なインフラが完備された工業団地は賃料が高くなる(例:My Phuoc工業団地)。
ビンズオン省の代表的な工業団地は以下の通りである。
工業団地名 | 面積(ha) | 主な産業 |
VSIP | 500 | 自動車部品組立・製造業、電気・電子産業、機械製造業、繊維工業、医薬品製造業、食品・飲料製造業、裾野産業 |
VSIP2 | 345 | 自動車部品組立・製造業、電気・電子産業、機械製造製造業、繊維工業、医薬品製造業、食品・飲料製造業、裾野産業 |
My Phuoc | 376.9 | 産業用および家庭用電気機械器具および予備部品の製造業、電子産業、情報・通信業、軽工業(子供用玩具、模造宝石、縫製、履物、陶器製品、ガラス、クリスタル)、倉庫業、食料品製造業、運送業、機械組立業、木材手工芸品の製造・加工業、プラスチック製品製造業 |
Dong An | 140 | 繊維工業(染色を除く)、衣料品製造業、革製品製造業、電気・電子産業、機械器具組立産業、農林産物加工業(茶、カシュー、コーヒー、飼料、木材、紙)、建築材料製造業・高級陶磁器製造業、化粧品製造業 |
ビンズオン省の経済発展状況
本章では、ビンズオン省の経済を解説する。
経済成長
2021年、ビンズオン省の国内総生産(GRDP)は408兆8000億VND以上に達した。2021年の一人当たりのGDPは1億5,220万ドンに達した。工業とサービスが主な産業で経済構造の89.23%、農業は3.1%を占めている。
企業数
2021年末時点、ビンズオン省の企業総数は3万768社、同省に新たに設立された企業数は5293社である。
この産業の力強い発展により、ビンズオン省は現在、外国投資資金の誘致でホーチミン市に次ぐ全国2位となっている。2021年末までの外国直接投資額は20億6900万米ドル。2022年8月までの累計でビンズオン省には4063件のFDIプロジェクトがあり、登録資本金は395億USDに達する。
投資誘致のプロジェクト
ビンズオン省は、エネルギー、加工・製造業などの重要な分野でのFDI誘致に力を入れている。特に、第4次産業革命に基づく科学技術工業団地への投資を誘致している。代表的なプロジェクトは、10億ドルを投資したレゴグループ(デンマーク)の玩具工場、1億ドルを投資したパンドラグループ(デンマーク)の宝石工場プロジェクトである。
ビンズオン省における日本企業の投資状況
2022年現在、省内には日本の投資によるプロジェクトが335件あり、登録資本金は60億ドル近くに達している。日本の投資家は、電子部品、電子回路・チップ、自動車組立、鉄鋼生産、裾野産業、都市・商業・サービス開発など、多くのハイテク生産プロジェクトを建設している。
ビンズオン省における日本企業の投資案件の一部は以下の通りである
案件名 | 投資家 | 投資分野 | 投資年 |
イオンモール | イオン(日本) | サービス – 商業 | 2014 |
ビンズオン新都市プロジェクト | Becamex Tokyu 合弁会社(日本の東京急行電鉄株式会社とベトナムのBecamexIDC株式会社) | 不動産投資 | 2012 |
Sakata Inx ベトナム社 | Sakata Inx (日本) | 印刷インキの製造 | 2003 |
Maruchi Sun Steel Pipe 工場 | 丸一鋼管、豊田通商、JFEスチールの合弁会社(日本) | 鉄鋼生産 | 1996 |
関連情報
ビンズオン省の計画投資局
- ウェブサイト: http://sokhdt.binhduong.gov.vn/
- 住所: Hoa Phu区 – Thu Dau Mot市 – Binh Duong省
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