近年、ベトナムの米産業は輸出分野で大きな飛躍を遂げ、インドに次ぐ世界第2位の輸出国へと成長した。2025年1〜7月の輸出量は550万トン、輸出額は28億1,000万USDに達し、数量・金額ともに増加を示した。特に7月単月では75万トンを輸出し、3億6,610万USDを記録した。輸出価格は一時タイを上回り、品質面での評価が高まっている。
背景には、従来の数量重視から品質重視へと戦略を転換したことがある。ST25やJasmineといった高品質品種の普及、GlobalGAPやHACCPなど国際基準への適合が進み、EUや日本といった難しい市場への輸出も拡大した。さらに、機械化や高度な加工技術の導入により収穫後のロス削減と付加価値向上を実現した。
市場面では、輸出先は150以上の国・地域に広がっている。最大市場はフィリピンで輸出全体の42.6%を占めるが、ガーナやコートジボワール、バングラデシュなど新興市場での伸びが著しく、バングラデシュは前年から188倍という驚異的な増加を示した。輸出先の多様化により、従来の依存構造から脱却しつつある点も注目される。
一方で、競合国の動向もベトナムに追い風となった。タイは2025年前半の輸出が27.3%減少し、同期間にベトナムが470万トンを輸出したことで順位が逆転した。こうした結果、ベトナムは国際市場における存在感を一層高めた。
ベトナム政府と業界団体は、輸出数量だけでなく「スマート輸出」「高付加価値化」「持続可能性」を目指すべきだと強調している。農家と企業の連携強化、インフラ整備、気候変動に強い新品種の開発、ブランド保護や地理的表示制度の活用などが課題とされる。
こうした取り組みにより、ベトナム米は単なる輸出品にとどまらず、国家ブランドとしての価値を持つようになっている。世界市場での地位を確立した今、次の目標は「質」と「持続可能性」に基づく輸出モデルの構築である。
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