ベトナム国防省傘下の総合建設企業「ルンロ建設総公社(Lũng Lô)」は、北部から南部にかけて合計14件の洋上風力発電プロジェクトを提案している。総投資額は約955兆VND(約1兆円規模)に達し、総出力は数万MWに及ぶ計画である。
北部では主にクアンニン省やハイフォン市沖を中心に7件の案件を計画。最大規模は「北部8」(1,000MW、投資額10兆2,564億VND)や「北部6」(1,000MW、11兆VND超)などで、他にも500MW級の案件が複数含まれる。これらの発電所は2030年末から2034年初頭にかけて順次商業運転開始を予定している。
南中部のビントゥアン沖では4件(各500MW、投資額約5.2兆〜5.3兆VND)が計画され、2030年以降の稼働を目指す。南部ではバリア=ブンタウ、ベンチェ、チャーヴィン沖で計3件が進められ、いずれも500MW規模である。すべての案件は海底ケーブルで送電し、資金調達の約8割を商業銀行融資など外部資金に依存する見込みである。
本計画は国家エネルギー戦略や電力計画(PDP8)との整合性、送電網接続の可否、電力売買契約(PPA)の枠組み、経済性・社会性の評価、投資主体の条件など多角的な審査を受ける。エネルギー研究所は国家・地域・省レベルの計画適合性を審査し、Petrovietnamは石油・ガス活動への影響を精査、EVNは電力価格や系統安定性を評価する。さらに電力システム運営会社(A0)は需給調整と安全運転の観点から検討を行う。
ルンロ建設総公社は1989年に設立された国防省系建設企業で、土木建設、鉱山開発、電力関連設備など多分野で事業を展開。2025年には売上高1,600億VND、税引前利益40億VNDを目標に掲げている。今回の洋上風力プロジェクト群は同社にとって最大規模の投資提案であり、ベトナムが2030年以降の脱炭素化とエネルギー安全保障を両立させる上で重要な案件となり得る。
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