米中の間で動くベトナム、戦略的な関税提案
関税は古くから「両刃の剣」と形容されてきた。他国に課せば同時に自国経済も傷つくものであり、実際に価格上昇・競争力低下・供給網への悪影響を招く。よって、政治的あるいは心理的な目的を除けば、課税への最善の反応は「報復しないこと」である。
ベトナムはこの原則に基づき、トランプ政権による46%の関税に対し、対立姿勢を取るのではなく、逆に輸入関税をゼロにするという提案を先手で打ち出した。この一手は、1360億ドルに達した2024年の対米輸出の維持、さらにアメリカ産農産物やハイテク製品の輸入促進に繋がる戦略的判断である。
このタイミングでベトナムの総書記トー・ラムがトランプに贈り物を渡したという“政治演出”も功を奏し、ベトナムを生産拠点とする企業の株価が軒並み上昇した。
一方、米国は依然として経済・軍事・文化・教育・技術革新など多方面において世界を主導している。GDPの世界シェアは依然として約25%を占め、軍事費は年間9000億ドルに達する。大学ランキング、映画、IT、イノベーション分野においてもアメリカの影響力は不動である。
ただし、「アメリカは偉大でなくなった」と信じる層が約20%存在する。彼らは実質所得が増加しても生活格差が拡大している現実に不満を抱えており、ジニ係数は1991年の0.43から2023年には0.49に上昇。格差社会の深化は、貿易摩擦の背景にもある。
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