FIT制度巡る電力支払い問題深化
ベトナム政府が推進する再生可能エネルギー政策のもと、多くの太陽光・風力発電プロジェクトが商業運転開始日(COD)を迎え、FIT1およびFIT2制度に基づく優遇価格で電力販売を行ってきた。しかし、これらのプロジェクトのうち約90件が、COD時点で必要とされる「当局による完了検査承認」を取得していなかったことが2023年のベトナム政府監査により指摘され、ベトナム電力公社(EVN)からの電力代金支払いが停止または遅延している。
この対応に対し、ベトナム企業および外国投資家からは、当時の法制度ではCOD認定に完了検査承認は必須でなかったと反論が出ており、EVNに対し契約通りの支払いを求める声が強まっている。また、FIT価格での電力販売を前提に融資を受けているベトナム企業も多く、支払い遅延により財務リスクが深刻化している。
一方、ベトナム商工省は、条件を満たしていないプロジェクトに対してはFIT価格を適用せず、今後の電力価格は再算定される方針を示している。これにより、ベトナム国内の投資環境と再生可能エネルギー分野の信頼性に影響が生じており、法令の遡及適用に対する懸念が国内外から提起されている。
結論として、FIT制度をめぐる法的な不確実性が、ベトナム企業や外国投資家の信頼を揺るがし、再生可能エネルギー事業への新規投資にも悪影響を及ぼす可能性がある。今後は、ベトナム政府による法的枠組みの明確化と、EVNの契約履行に関する透明性が求められる。
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