ベトナムにおけるデータセンター市場の最新投資動向
インターネットの普及と発展は、情報社会を形成する要因となった。その中でデータセンターは、情報の保存、処理、伝送の中核となるインフラとしてますます重要性が増している。現在、私たちの生活やビジネスは情報を中心に機能しているため、情報を迅速かつ安全に処理・保存するデータセンターは必要不可欠だ。
ベトナムは、ITの進展とともに、様々な分野でデジタル化を積極的に進めている。特にコロナ後はオンラインショッピング(EC市場)、デジタル決済の普及、オンライン教育などが発展し、それに伴いデータセンターの需要も急増加している。ベトナムのようなデジタル化が進む国で、データセンターの発展と投資は、経済の新しい成長の柱として位置付けられている。
またベトナムは、政治の安定性、テロが無い、地震などの災害率が比較的低いことから、データセンターの設立に適した国として注目されている。(Cushman & Wakefield調べ)
2022年の動向を振り返ると、3月にホーチミン市はQuang Dung Technology Distribution(QD TEK)とNTT Global Data Centers(GDC)の合弁で、新たなデータセンターの設立と運営を承認した。投資額は総計5,600万ドルに上る。6月には、Gaw Capital Partnersがホーチミン市のハイテクパークに新しいデータセンターの建設を完了し、2024年の稼働を予定している。また、8月にはCMCが世界基準を満たすデータセンターをホーチミン市に建設、総投資額は1,500億ドンにのぼる。10月には、ViettelがViettel Cloudエコシステムの立ち上げを発表。既にベトナム内で13ヵ所のデータセンターを運営するViettelは、2025年までにさらに1兆ドンの投資を計画している。2022年末に、VNG Corporation(VNG)は2つ目のデータセンターの稼働を開始。
ベトナムのデータセンター市場は、2026年までに年間平均成長率が14.64%に達すると予測されており、この市場の拡大を背景に、ベトナム政府はアジア太平洋地域のデジタルハブとしての位置付けを目指している。