ベトナムへの外国直接投資(FDI)の現況
ベトナムへの外国直接投資は、ベトナムが2007年に世界貿易機構(WTO)に加盟して以来、急増している。従来的な社会主義に基づく環境から、開かれた自由な投資環境への変遷、国際的経済枠組みへの参加、国内体制の改革を経て、ベトナムは外国人投資家にとって魅力的な投資先となっている。
計画投資省によると、2023年1~11月期のFDIは、実行ベースで202億5000万ドル(2018年以来最高額)、契約ベースで288億5000万ドル(前年比14.8%増)を記録した。ベトナムの成長見通しに対する投資家の期待を表しているとみられる。
一方で、多くの分野で投資額が小規模であることが課題であるが、多くの分野で更なる投資開発の余地があるとも考えられる。また、対ベトナムFDIは労働集約型の産業が大部分を占めている。ベトナムは、安価で豊富な労働力が活用できる製造拠点であるが、原材料は主に海外から輸入されており、付加価値が低い。特にインフラ開発はベトナムの発展にとって優先事項であり、大きな需要と成長性を秘めているが、これらの分野で外国直接投資を十分に呼び込んでいる成果はまだ見られない。
このような中、ベトナム政府は2021年11月に開催されたCOP26において、2050年までのカーボンニュートラル達成目標を表明した。その実現のため、様々なGX(グリーントランスフォーメーション)政策を進めており、特にグリーン経済やハイテクノロジー分野への投資への注目が高まっている。
ベトナム首相に各社が投資・協力強化を表明
12月2日朝、ドバイ(UAE)にて、ファム・ミン・チン ベトナム首相は、ノルウェーのEquinorグループとUAEのInternational Holdings Company-IHCグループの幹部と会談した。Equinorグループ幹部は、同社がハノイにオフィスを開設し、ベトナムの洋上風力産業の発展に寄与し、ベトナムのGX政策に参画するため、ベトナム石油グループとの協力強化を表明した。
チン首相は、Equinorグループによる既存のプロジェクトを引き続き効果的に展開するとともに、再生可能エネルギーや洋上風力発電、および送電プロジェクトの調査・実施において、ペトロベトナム・グループおよび関連機関との協力を示唆し、国内および輸出需要に応えることを歓迎すると述べた。
International Holdings Company-IHCは、ベトナムを同社の最優先投資先と位置づけている。同社は港湾、物流分野での協力の機会を模索しており、DXやスマートシティ分野等にも関心を持っている。チン首相は、同社の近年の事業を高く評価するとともに、同社が模索しているインフラ事業、DX分野は、ベトナムのGX政策における優先事項であると述べた。
ベトナム側は、「利益の調和、リスクの共有」の精神に基づき、外国投資家、特にUAEの投資家に対して有利な条件を整え、安定した環境を維持し、効果的で長期的、かつ持続可能なビジネス投資の実現を目指すことを約束した。
ベトナム投資への環境整備を約束
ベトナム側は会談で、「利益の調和、リスクの共有」の精神に基づき、外国投資家、特にUAEの投資家に対して有利な条件を整え、安定した環境を維持し、効果的で長期的、かつ持続可能なビジネス投資の実現を目指すことを約束した。