ベトナムの再生可能エネルギー技術の自立への道と課題
再生可能エネルギープロジェクトの建設に関わる部品の供給源を依然として海外に依存しているため、ベトナムはこの分野で技術的な主権を確立できず、再生可能エネルギー開発におけるボトルネックとなっている。
10月17日に開催された「グローバルエネルギーサプライチェーンの再構築」フォーラムで、PwCベトナムの投資兼インフラプロジェクトコンサルティングサービスのディレクターであるアビナブ・ゴーヤル氏は、ベトナムがエネルギー転換の緊喫のニーズに直面していると指摘している。
COP26やPDP8に基づき、
再生可能エネルギー分野の部品サプライチェーンを見ると、プロジェクトの約90%の供給が輸入に依存している状況である。インドネシアは太陽光、風力、地熱などの建設部品の国産化に取り組んでおり、再生可能エネルギープロジェクトで地元企業との協力を奨励する政策を実施している。同様に、タイもEV(電気自動車)のバッテリー供給装置部品製造に対する政府の優遇措置があり、タイのEVサプライチェーンは50〜60%の国内化率を誇っている。
エネルギー転換はサプライチェーンに関わる関係者に直接影響を与え、多くの機会をもたらす。技術提供者やサービス開発者は、新しい分野で再生可能エネルギーソリューションを提供し、政府機関と連携して新製品やサービスのための支援政策を推進できる。
ベトナムでもより多くの企業がサプライチェーンに参加するためには強力な措置が必要である。ゴーヤル氏は「新しいサービスが開発されると、サプライヤーや市場参加者も新たな収益源を生み出し、エネルギーコストを削減し、ブランド力を向上させることができる」と強調している。
ベトナムは電気機器の品質や電力システム、ケーブルにおいて優位性を持っており、国際市場へのさらなる供給が期待される。しかし、この機会を最大限に活用するためには、風力発電および太陽光発電を建設する機会部品を厳密に精査し、国内企業が市場にアクセスし積極的に参加できるよう明確な政策が必要である。
ベトナム科学技術省技術評価・審査局副局長であるグエン・シ・ダン氏は、再生可能エネルギーへの移行がベトナムを東南アジアで少なくともエネルギー転換の中心地にする可能性があると評価している。しかし、この目標を達成するためにはベトナムが再生可能エネルギー技術の主権を確保する必要がある。これは経済問題だけでなく、エネルギー安全保障にも関わる問題である。
ダン氏は、「エネルギー転換はベトナムが持つ優位性を基盤とすべきであり、既存技術は維持し急激な変更は避けるべきだ」と指摘している。具体的には、水力発電についてPDP8でもその役割が言及されており、水力発電技術は既に確保されていると述べている。したがって、水力発電を直ちに放棄することなく適切な転換プロセスが必要である。
またダン氏は再生可能エネルギーのサプライチェーンは製造、送電、配電、消費という4つの段階から成り立っていることに触れ、企業は収益性の高い製造や配電に注力すべきであり、送電や消費は国家企業が担当すべきだと提案している。さらに企業は海外企業から技術移転を通じて技術主権を確保する機会を模索すべきだと述べている。
B.Grimm Power VietnamのCEOであるグエン・アン・トゥアン氏は民間企業が送電線や変電所への投資に困難を感じていることを指摘し、「具体的な指針が不足しているため企業には明確な仕組みが必要」と提案している。また、「ベトナムは中国やラオス、カンボジアなど隣国との協力拡大や投資資金の誘致、先進技術受け入れが必要」であると述べている。加えて、「電力価格政策もより柔軟であるべき」であり、「適切な価格制度は再生可能エネルギー利用促進につながり投資家を刺激し排出削減にも寄与する」と提案している。