ベトナム不動産のM&A市場がまれに見る活況を呈している。国際会計・コンサルティング会社グラントソントン・ベトナム (Grant Thornton Viet Nam)の報告によると、2025年1〜8月のM&A総額は約48億米ドル(約7,200億円)に達し、前年同期比21%増となった。平均取引規模は4,200万米ドル(約63億円)で、2022〜2023年期に比べ15%拡大し、大型案件への資金集中が鮮明になっている。
8月単月では18件のM&Aが成立し、総額は22億3,000万米ドル(約3,345億円)。主な案件は以下の通り。- 自動車・EVメーカーのビンファスト(Vinfast, ビングループ傘下)は、ノバテックを設立し、会長ファム・ニャット・ブオン氏に62%の株式を15億2,000万米ドル(約2,280億円)で売却。年初から最大の案件となった。
- 株式会社アピリッツ(Appirits社、ゲーム開発会社)は、ソフトウェアアウトソーシング企業Bunbuを2億4,100万米ドル(約360億円)で買収。
- HD韓国造船(韓国の大手造船会社HD Korea Shipbuilding)は、クアンガイ省の産業機械メーカーDoosan Vinaを2億1,000万米ドル(約315億円)で取得。

取引件数ではベトナム企業が優勢だが、巨額案件は外資が主導している。マレーシアの不動産大手SkyWorldは、3,500億ドン(約19.5億円)でトゥアンタン社を取得後、ホーチミン市でさらに土地を拡大。また、シンガポールのキャピタランド、日本の住友林業、熊谷組、NTT都市開発、西日本鉄道がビンズオン省、ドンナイ省、ホーチミン市で大型プロジェクトに参画している。
英系不動産コンサルティングのサヴィルズ・ベトナムは、国際大手の参入が資金・技術・経営手法をもたらし、競争力強化の原動力になると指摘。一方で、地価高騰、法的手続きの長期化、法的整備済み案件の希少化といった課題も残る。
サヴィルズ社は、再生可能エネルギー、物流、フィンテック分野を中心に、2025年末まで不動産M&Aが引き続き拡大すると予測。法制度改革、経済外交、持続的価値を求める資金流入が主要な推進力になるという。内外企業の積極的な関与により、ベトナムは地域における不動産M&Aの「ホットスポット」として地位を確立しつつある。
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