トー・ラム政権が掲げる“第2の奇跡”とは
皆さま、こんにちは。ONE-VALUE株式会社の代表のホアです。
戦後、荒廃したサイゴンは今や「ホーチミン市」として人口900万人を超える経済都市へと変貌しました。AppleやSamsungをはじめ、世界の製造業が集まるなか、ベトナムは急成長を遂げ、米国との貿易黒字は世界第5位にまで拡大しています。しかしこの華やかな成功の裏で、ベトナム経済はいま重大な転換点に立たされています。
その中心にいるのが、2024年に共産党トップに就任したトー・ラム氏です。彼は公安出身の硬派な人物でありながら、「第2のドイモイ(刷新)」を掲げ、旧来の経済モデルからの脱却を打ち出しました。2030年までに2桁成長を達成し、2050年には半導体で年間1000億ドルを稼ぐ国家を目指すと明言。科学技術予算の4倍増、大学の自由化、家計企業の減税など、矢継ぎ早に改革案を発表しています。
理想と現実――ベトナム経済が抱える深層課題
ただし現実は甘くありません。人件費はタイやインドネシアより高騰し、米国との通商摩擦も激化。地政学的バランスを保つ中での「脱・中国依存」も難題です。さらに、現在の輸出依存型モデルでは国内での付加価値が生まれにくく、大企業や国営企業に集中した恩恵が中小企業に波及しない構造も問題です。
こうした中、トー・ラム氏は官僚10万人の削減、地方行政の統廃合、既得権益の打破に着手しました。まさに「燃えるような改革」です。
ベトナムが“工場”の地位にとどまるのか、それとも真のアジアの“新たな龍”として飛躍できるのか。この運命は、今まさに形を成しつつあります。今こそ「豊かになる前に老いる」前に、私たちの国が挑戦するべき時です。
経営者である私たちにも問われています。この転換期にどう動くか。ベトナムの未来に賭ける価値は、いま確かに存在しています。
ONE-VALUE株式会社
代表取締役 Phi Hoa(フィホア)