ベトナムと日本の貿易の概要
日本は現在、ベトナムにとって第4位の貿易相手国であり、輸出市場ではアメリカ、中国に次ぐ第3位、輸入市場でも中国、韓国に次ぐ第3位となっている。
ディストリビュータの概要およびサプライチェーンにおける役割
ベトナムと日本の良好な外交関係のもと、ベトナムへの輸出活動はますます活発化している。しかし、日本企業が自ら新市場での流通を行おうとすると、市場の理解や慣れに時間がかかり、多くの困難に直面する可能性が高い。市場参入の初期段階において、現地ディストリビューターの強みを活用することは、製品をより多くの最終消費者に容易に届けるための賢明な戦略である。
ディストリビューターは、メーカーの製品を下位代理店や最終消費者に橋渡しする役割を果たす仲介企業である。ディストリビューターの役割は、製品を迅速かつ効率的に最終消費者に届けることであり、さらに市場拡大や販売数の向上をメーカーにサポートする。
ベトナムと日本間の輸出入状況
本章では、ベトナムと日本感間の輸出入状況について解説する。
ベトナムと日本の貿易状況
1992年にベトナムが日本との外交関係を再構築して以来、ベトナムは日本にとって潜在的な輸出市場となっている。2023年、日本はベトナムにとって第3位の輸入市場である。ベトナム税関総局の統計によれば、2023年のベトナムと日本間の二国間貿易総額は44.95 Bil USDに達し、そのうちベトナムの対日輸入額は21.64 Bil USDとなり、2015年と比較して150%増加した。
ベトナムと日本が世界のさまざまな貿易協定にますます深く関与している状況の中で、日越間の二国間貿易関係は引き続き良好に進展すると予測されている。日本からベトナムへの高品質な製品の輸出はさらに増加すると見込まれている。
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ベトナムが日本企業にとって有望な輸出市場となる要因の分析
日越間の貿易関係はますます発展しており、その中でベトナムはグローバル企業にとって有望な貿易・投資先として注目されている。この背景には、以下の3つの主要な要因が挙げられる:広大な消費市場、開かれた貿易政策、そして安定した政治体制である。
第一に、消費市場の規模に関して:ベトナムは1億人以上の人口を抱える潜在的な市場として評価されている。さらに、平均所得が向上し、生活水準が改善される中で、消費需要も急速に増加している。これらの要素は、国内外の企業にとってベトナム市場への参入および市場拡大の大きな機会をもたらしている。
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また、ベトナムの消費者は外資系製品、特に日本製品を好む傾向があり、これはベトナムが国際的な統合を開始した30年以上にわたって顕著な特徴となっている。「Made in Japan」のブランド、たとえばAcecookやAjinomotoなどの食品・飲料業界、ToyotaやHondaやSonyなどの自動車や家庭用電子機器業界は、高品質と耐久性によりベトナムの消費者から強い信頼を築いてきた。
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第二に、貿易政策に関して:ベトナム政府は、特に日本との国際貿易を促進するために、多くの開かれた貿易政策を実施してきた。ベトナムはCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やEVFTAなど多くの自由貿易協定(FTA)に署名し、それにより日本を含む加盟国の多くの商品に対して輸入関税の削減または免除を実現している。具体的には、CPTPPに基づき、日本からベトナムへの多くの輸出品が優遇税率、さらには100%の関税免除を享受している。さらに、政府は2022年の決定493/QĐ-TTg「2030年までの輸出入戦略」を承認し、日本を含む先進国からの高度な機器や最新の生産ラインの輸入を奨励している。この戦略は、日本の機械、設備、資材分野の企業にとってベトナム市場での事業拡大の重要な機会となっている。
第三に、政治体制に関して:ベトナムは安定した政治体制を維持しており、変動が少なく内戦もない。この安定性は、安全で円滑なビジネス環境を提供し、国際的な投資家や大手ブランドにとって魅力的な投資先としてベトナムを位置付けている。
ベトナムへの輸出におけるディストリビュータ選定の重要性
本章では、ベトナムへの輸出におけるディストリビュータ選定の重要性について解説する。
外国メーカーがベトナム市場に参入する際の課題
新しい市場への参入を目指す外国メーカーは、多くの課題に直面することが多い。これらの課題は主に以下の3つに分類される。すなわち、消費者の行動や習慣の理解不足、流通チャネルネットワークの未整備、市場シェアの獲得および市場管理の困難である。これらの障壁は、ターゲット顧客へのアクセスを難しくし、期待される売上を達成できなくなる要因となる。
第一に、数千年の歴史に培われた文化を持つベトナムのような国では、国民の習慣や消費行動は他国と大きく異なる場合が多い。外国メーカーがベトナムの消費者の行動や習慣を十分に理解しない場合、市場に適した製品や消費者ニーズ・嗜好に応じた製品を提供することが難しくなる。それだけでなく、潜在的な顧客層を特定できないことで、効果的な経営戦略やマーケティング戦略を策定することができず、資源の浪費を招く可能性がある。
第二に、流通チャネルネットワークの未整備は、消費者へのアクセスや売上促進において大きな障壁となる。製品を最終消費者に届けるためには、多様で広範な流通ネットワークの構築が必要である。特にデジタル化が進む中、多様な販売チャネル、特に電子商取引(EC)の開発が進まない場合、ブランドの競争力が低下し、市場シェアを獲得する機会を失うことになる。