運営会社について
このメディアは、ベトナムビジネスの経営課題を解決する
ベトナム特化コンサルティング会社、ONE-VALUE株式会社によって運営されています。
はじめに
ベトナムは近年、安定した経済成長と若年人口の拡大を背景に、消費市場としても大きな潜在力を秘めている国である。実際、日系企業のベトナム進出件数も年々増加している。一方で、言語・文化の違いや商習慣、法規制など克服すべき課題も多い。現地の市場環境や消費者動向を十分に理解しないままでは、事業展開のリスクが大きい。
本記事では、ベトナムの市場調査を得意とするおすすめの5社を紹介していく。ベトナム市場調査の費用相場や失敗しないために抑えておくべきポイントも解説する。
日系企業が注目するベトナム市場の4つのメリット
日系企業がベトナムを目指すのには、明確なビジネス上の理由が存在する。それは、かつての安価な労働力というイメージを覆す、事業成長に直結する魅力である。
ここでは、ベトナム市場を概観し、注目すべき4つのメリットを解説する。
メリット1:巨大な「消費市場」としての将来性
ベトナムの最大の魅力は、安定した経済成長を背景に拡大を続ける巨大な消費市場だ。購買意欲が旺盛な中間層・富裕層の増加は、高品質な日本の製品やサービスにとって計り知れないビジネスチャンスとなる。GDP成長率もASEANのなかでトップクラスに高い。
メリット2:優秀で若い労働力を確保しやすい環境
ベトナム全体の平均年齢は30代と圧倒的に若く、国は豊富な労働力を供給する「人口ボーナス期」の真っ只中にある。勤勉で学習意欲の高い若手人材は、企業の成長を担う強力な原動力となるだろう。
引用:2024年ベトナムの年齢別人口分布 | PopulationPyramid.net
メリット3:安定した「生産拠点」としての魅力(チャイナ・プラス・ワン)
地政学リスクの分散を目的とした「チャイナ・プラス・ワン」の最有力候補地である。政治的な安定性と中国に隣接する地理的優位性は、強固でレジリエントなサプライチェーンを構築する上で決定的な強みだ。
メリット4:ビジネスを後押しする政府の支援と税制優遇
ベトナム政府は外資誘致に極めて積極的であり、ハイテク分野など特定の産業には法人税の免税・減税といった優遇措置が存在する。さらに、CPTPPやRCEPなど広範なFTAネットワークは、ベトナムを輸出拠点とする価値を大きく高めている。
CPTPP:環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から米国が離脱後、残りの11カ国で新たに締結された協定。
RCEP:東アジア地域包括的経済連携。ASEAN10カ国に加え、日本や中国、韓国など15カ国が参加する広域の経済連携協定。
ベトナム市場調査の主な手法と費用・期間の目安
ベトナム市場調査の手法は、大きく3つに分類される。それぞれに特徴があり、調査の目的やフェーズに応じて使い分けることが重要だ。
続いて、ベトナム市場調査の具体的な手法や、実務上の目安となる費用・期間を解説する。
手法①:デスクリサーチ(公開情報・文献調査)
政府統計や業界団体が発行するレポート、現地の新聞、既存の調査資料などを収集・分析する手法である。デスクリサーチでは、市場の全体像をマクロな視点で把握できるのが特長だ。
- メリット: 低コストかつ短期間で実施できる。市場ポテンシャルを大まかに把握し、次の調査の仮説を立てる上で不可欠である。
- デメリット: 情報が古かったり、断片的であったりすることが多い。自社が知りたいピンポイントな情報が得られない場合もある。
- 費用目安: ~数十万円
- 期間目安: 1~2週間
手法②:定量調査(Webアンケート・会場調査)
アンケートなどを用いて、市場規模、認知度、満足度といった実態を「数値(量)」で把握する手法である。市場の全体像や自社で立てた仮説を客観的なデータで裏付けたい場合に用いられることが多い。
- メリット: 多くの対象者から回答を得ることで、統計的に市場全体の傾向を掴むことができる。データに基づいた客観的な意思決定に役立つ。
- デメリット: 「なぜそのように回答したのか」という背景や深層心理までは分からない。また、現地の文化に合わせた適切な設問設計には専門知識が必要だ。
- 費用目安: 数十万円~数百万円
- 期間目安: 1~2ヶ月
手法③:定性調査(専門家・消費者インタビュー、現地視察)
数名の消費者や業界専門家へのインタビュー、あるいは現地での視察を通じて、数値では測れない「質的」な情報を深掘りする手法である。顧客インサイトや、背景にある文化・価値観の理解に適している。
- メリット: 回答の理由や背景を深く掘り下げることで、新たな商品・サービスのアイデアや、有効なマーケティング戦略の仮説を発見できる。
- デメリット: 対象者数が少ないため、調査結果を市場全体の意見として一般化することはできない。
- 費用目安: 数十万円~数百万円
- 期間目安: 1~2ヶ月
【目的別】最適な調査手法の選び方
これらの手法に優劣はなく、目的や事業フェーズに応じて組み合わせることが重要である。
- 【初期段階】市場の可能性を知りたい: まずは「デスクリサーチ」で市場の全体像とポテンシャルを把握し、事業の仮説を立てるのが定石。
- 【計画段階】ターゲットや需要を特定したい: デスクリサーチで立てた仮説を検証し、具体的なターゲット層や市場規模を数値で把握するために「定量調査」を実施する。
- 【開発・改善段階】現地のニーズを深く知りたい: 商品・サービスを現地のニーズに適合させるため、「定性調査」で消費者のリアルな声(インサイト)を深掘りする。
多くの場合、デスクリサーチから始め、その結果を基に定量調査や定性調査へ進むのが最も効率的で失敗の少ない進め方である。
ベトナム市場調査に強いおすすめの専門会社5選
ベトナムの市場調査を依頼できる企業は数多く存在するが、それぞれに得意な領域や特徴がある。ここでは、豊富な実績を持つ代表的な5社を紹介する。
会社名 | 強み | こんな企業におすすめ |
ONE-VALUE株式会社 | 戦略実行まで伴走するベトナム特化型 | 調査から事業立ち上げまで一気通貫で任せたい |
株式会社インテージ | 大手ならではの高品質・大規模データ | 大規模な定量調査で客観的データが欲しい |
Provej株式会社 | 海外全般に精通したコンサルティング力 | ベトナム含めアジア全域での展開を検討中 |
アーセックベトナム | 部分依頼にも応える柔軟な現地対応力 | 現地視察やパートナー探しなどピンポイントで頼みたい |
JETRO | 公的機関としての信頼性と無料情報 | コストをかけずに信頼性の高いマクロ情報を集めたい |
1.ONE-VALUE株式会社(ワンバリュー)

- 日本拠点: 東京都江東区亀戸(本社)
- ベトナム拠点: ハノイ市、ホーチミン市
- 電話番号: 080-1980-9493
- ホームページ: https://onevalue.jp
ONE-VALUE株式会社は、2018年設立のベトナムビジネスに特化した経営コンサルティングファームである。市場調査から戦略立案、M&Aアドバイザリー、販路開拓支援、外国人材の紹介に至るまで、ベトナム進出企業を幅広くサポートしている。日本とベトナムの両国に拠点を置き、現地事情に精通した日越バイリンガルの専門チームが強みだ。現地には約70名のスタッフを擁し、ベトナム国内各地での情報収集ネットワークを有する。また、現地大学や政府機関とも連携し、信頼性の高い情報収集に努めている。顧客企業のニーズに応じてカスタマイズした市場調査を実施し、的確なデータと分析を提供することで、日本企業の現地での成功を後押ししている。実際に日系企業によるベトナム企業買収を支援した実績もあり、クロスボーダーM&Aの知見も有する。単なるデータ提供に留まらず、調査結果に基づく戦略提言や実行支援まで一貫して行うため、進出準備から事業立ち上げ・拡大まで心強いパートナーとなっている。
2.Kadence International

- 日本拠点: 東京都新宿区
- ベトナム拠点: ホーチミン市
- 電話番号: 03-6859-2269
- ホームページ:https://kadence.com/ja/office/vietnam/
同社はグローバルに展開するマーケティングリサーチ会社であり、アジアを中心に多国籍な調査体制を構築している。ベトナム拠点においても現地チームによる定性・定量両面の調査に強みを持ち、B2B・B2C双方の分野で豊富な実績を有する。とりわけ多文化理解とローカルの洞察力を活かしたアプローチで、日系企業のベトナム市場への進出や商品・サービス開発を支援する調査会社である。
3.Provej株式会社

- 日本拠点: 東京都港区新橋(本社)
- ベトナム拠点: ベトナム国内(現地パートナー拠点)
- 電話番号: 03-6435-6963
- ホームページURL: https://www.provej.jp/
同社は、日本企業のベトナムを含む海外市場進出を支援する日系調査・コンサルティング会社である。海外市場調査から事業戦略策定、現地ビジネス立上げまで一気通貫でサポートし、豊富な実績を有する。各業界に精通した調査チームとベトナム現地パートナーのネットワークを活用し、最新の市場情報と的確なビジネスソリューションを提供する点が強みである。ベトナムを含む東南アジア各国での市場調査実績も豊富である。
4.アーセックベトナム

- 日本拠点: 東京都港区芝(株式会社アーセック本社)
- ベトナム拠点: ホーチミン市(現地法人)
- 電話番号: 03-6912-0844
- ホームページURL: https://vn.arsec.co.jp/
同社は、日本企業のベトナム市場進出を専門とする日系支援・調査企業である。ホーチミン市に現地法人を構え、親会社(東京)の日本語窓口を通じて市場調査、現地企業とのビジネスマッチング、輸出入支援、翻訳通訳など幅広いサービスをワンストップで提供する。また、調査のみや現地パートナー紹介のみといった部分的な依頼にも柔軟に対応する。
5.JETRO(日本貿易振興機構)

- 日本拠点: 東京都港区(本部)
- ベトナム拠点: ハノイ市、ホーチミン市
- 電話番号: +84-28-3821-9363
- ホームページ: https://www.jetro.go.jp
JETRO(日本貿易振興機構)は、日本政府系の貿易投資促進機関であり、海外展開を目指す日本企業に各種情報提供や支援を行っている。ベトナムにはハノイとホーチミンの2拠点を置き、現地経済動向や産業情報の収集・発信を積極的に行っている。市場レポートや統計データ、法律・制度に関する調査資料などを日本語で提供しており、ベトナム進出検討時の貴重な情報源となっている。現地事務所では専門家による個別相談やビジネスマッチング支援も実施している。公的機関ならではの幅広いネットワークと信頼性の高い情報が強みである。
ベトナム市場調査で失敗しないための3つのポイント
価値ある市場調査とは、単に調査会社に依頼してレポートを受け取ることではない。依頼する側が主体となり、これから解説する3つのポイントを押さえることで、調査の精度と費用対効果は大きく向上する。
ポイント1:調査目的を明確にする(「知る」で終わらせない)
最も多い失敗は、「とりあえずベトナムの市場感が知りたい」といった漠然とした目的で調査を始めてしまうことだ。調査の目的は「知ること」ではなく、その先の「意思決定」にある。
「調査結果を基に、何を判断し、次に何をするのか?」を事前に定義することが極めて重要だ。例えば、「競合の価格を調査し、ベトナム進出時の自社製品の価格設定を行う」「ベトナムにおける消費者ニーズを調査し、販売する商品のラインナップを決定する」といった具体的なゴールを設定することで、調査は初めて意味を持つ。
ポイント2:現地の文化・商習慣への深い理解を持つ
ベトナムは単一の市場ではない。首都ハノイを中心とする北部と、経済の中心地ホーチミンを中心とする南部とでは、人々の気質から消費行動、ビジネスの進め方まで大きく異なることを理解すべきだ。
また、公式なデータや建前の意見だけを鵜呑みにするのは危険である。その裏にある本音や人間関係といった、数値化できない「ウェット」な情報がビジネスの成否を分けることも少なくない。
パートナーを選ぶ際は、表面的な数値を翻訳するだけでなく、その裏にある文化的背景まで解説できる深い知見があるかを見極める必要がある。その解説の質が、戦略の精度を左右する。
ポイント3:「誰から」情報を得るかにこだわる
定性調査の価値は、対象者の「質」で決まるといっても過言ではない。消費者の意見はもちろん重要だが、それだけでは市場の一側面しか見えない。
現地のキーパーソン、規制当局の担当者、あるいは競合の動向に精通した人物から得られる一次情報は、時に何百ものアンケート結果以上の価値を持つ。
どのようなネットワークを持ち、通常の調査ではアクセスできない情報源にリーチできるかは、調査会社の実力を測る重要な指標となる。
まとめ
ベトナム市場進出にあたっては、こうした市場調査の専門機関の知見を活用することで、現地事情に即した戦略策定が可能となる。自社に適した調査パートナーを選び協力することが、ベトナムでの事業成功の近道である。成長著しいベトナムでのチャンスを確実に捉えるためにも、万全の準備・調査で臨むことが肝要である。
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