ベトナムの工業団地が進化、スマート製造拠点へ
2024年、ベトナム政府は外国直接投資(FDI)を382.3億米ドル誘致し、半導体チップや再生可能エネルギー分野などのハイテク産業に集中した。Samsung、LG、Foxconnといった世界的企業が生産拠点を拡張し、ホーチミン市とハノイでは合計120万㎡の工場需要が発生している。ベトナム国内では北部のハイフォンやバクニンを中心に工業団地の稼働面積が増加し、南部ではビンズオンやドンナイなどで高い入居率を維持している。特に中部は競争力のある賃料を背景に新たな投資先として注目を集めている。
ベトナム商工省の開発方針は、工業団地の次世代化を推進しており、IoT・5G対応インフラ、研究開発施設、労働者向け住宅を備える複合型モデルが導入されている。高層型工場やモジュール式の柔軟な賃貸方式が採用され、土地の節約と収益性向上が図られている。また、専門産業クラスターの形成が進んでおり、サプライチェーンを一体化することで物流コストが最大30%削減されている。
環境面では、ベトナム政府が2030年までに30%の工業団地でグリーン認証取得を目指し、再生可能エネルギーの活用や廃水リサイクルが促進されている。NestléやIntelは、ホアラック・ハイテクパークでデジタルツイン技術を活用したスマート工場の実証を進めており、運用コスト削減が期待される。
一方、課題も多く、地域ごとの重複した開発計画や不透明な法制度が指摘されている。これに対してベトナム政府はGISを活用した土地管理システムを試験導入中である。競争環境では、タイやインドネシアとの比較で港湾・鉄道整備が急務となっている。さらに、気候変動対策として、2030年までに工業団地で20%以上の再生可能電力導入が求められ、電力供給のグリーン化も推進されている。全体として、ベトナムの産業用不動産市場は、持続可能性と技術革新を軸に、ASEANのスマート製造拠点となる可能性を秘めている。


