- はじめに
- ベトナムの基礎知識(古田元夫)
- 現代ベトナムを知るための60章【第2版】(今井昭夫、岩井美佐紀)
- 物語 ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム(小倉貞男)
- ベトナム戦争―誤算と誤解の戦場(松岡 完)
- ベトナムを知れば見えてくる日本の危機(梅田邦夫)
- これからのベトナムビジネス2020(蕪木優典、實原享之、工藤拓人、チャン・グェン・チュン)
- 〈決定版〉ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本(福森哲也、實原享之、工藤拓人、チャン・グェン・チュン)
- 多層化するベトナム(荒神 衣実)
- ベトナムとビジネスをするための鉄則55(古川 悠紀)
- ベトナムのビジネス法務〔第2版〕(西村あさひ法律事務所)
- まとめ
- ベトナム市場の情報収集を支援します
はじめに
本レポートでは、ベトナムを理解する上で役立つおすすめの本を紹介します。ベトナムについて何か調べる時に、ほとんどの人がインターネットを使うと思います。しかし本には信ぴょう性と専門性の高さに加えて、著者が分かります。
しっかりとベトナムについての知識を身につけたい方には、今回紹介する本を読むことを強く推奨します。
そのほかにも、
- 出張でベトナムに赴任することになった方
- ベトナムに進出しようとしている方
- ベトナムでビジネスを立ち上げようとしているか方
- ベトナム人と同じ職場の方
- 少しでもベトナムに興味を持った方
上記の項目に1つでも当てはまる方にお勧めしたい本を10冊紹介していきます。
ベトナムの基礎知識(古田元夫)
- 詳細情報:ベトナムの基礎知識 (アジアの基礎知識)
- 発売日:2017/12/1
- 著者:古田 元夫
2017年に出版されたこの本は、ベトナムの知識に関して始めの一歩になる内容が書かれています。ベトナムの地理、歴史、政治、経済、社会などこの一冊でベトナムという国の全体的に知ることができます。ベトナムでも名高いベトナム史研究者、古田元夫 先生によって書き上げられた一冊です。
第1章では、ベトナムはどんな国かを様々な視点で説明されています。そして第2、3章ではベトナムの地理について、地方、都市によって詳しく書かれています。ベトナムの歴史書や観光本よりも細かく取り上げられているので、ベトナムの地理の全体像を知識も含めて知ることができ、この章まででも十分ベトナムの基礎知識が深まります。
第4、5、6章では、ベトナムの古代からドイモイ政策が展開された近代までの歴史が描かれています。ベトナムと周辺国やアメリカ、ソ連、中国との紛争や関係性、そして戦後経済、政治が不安定な状況からどのように立て直して現在ベトナムに近づいていったのかを詳しく知ることができます。 第7章では政治について、第8章では、経済と社会について書かれています。
第9、10章では、ベトナムと周辺国や日本の関係性が説明されています。
著者の古田先生はハノイにある日越大学の学長もしています。古田先生はベトナム戦争終戦約2年後の1977年からベトナムハノイに長期滞在をしています。そんな戦後間もない時から今までのベトナムを直接見てきた古田先生の情報量や考察力が非常に勉強になる本です。
現代ベトナムを知るための60章【第2版】(今井昭夫、岩井美佐紀)
- 詳細情報:現代ベトナムを知るための60章【第2版】
- 発売日:2012/10/30
- 著者:今井昭夫、岩井美佐紀、坂田正三、遠藤聡
この本は、題名にもある通り、60章にもわたりベトナムについて描かれています。 最初の10章では、ベトナムがどのように成り立ったのかが様々な部分に論点を置いて説明されています。
第10〜20章まではベトナムの大地、海(水)、村、民族、世界遺産などについて書かれています。この章は他の本では、あまり説明されていない部分なので、この本独自の視点で説明されていると言っても良いでしょう。
第21章〜40章までは、ベトナムの社会や民族の文化について書かれています。 第41〜50章では、ドイモイ政策下においての政治の姿が書かれています。最後の51〜60章では、ベトナムの工業化、現代化に視点をおいて書かれています。
この本は、
東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授、今井昭夫 先生
神田外語大学ベトナム語専攻教授、岩井美佐紀 先生
の2名によって執筆された著書です。
歴史のみならず、多くの専門分野に特化した研究者たちによる内容でわかりやすく、面白みを感じながら読むことができます。ちょっとした面白コラムなどもあるので最後まで飽きずに読むことができます。また、内容によってしっかりと分かれて書かれているので、気になることがある時だけ開く本として持っておくのもおすすめです。
物語 ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム(小倉貞男)
- 詳細情報:物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム
- 発売日:1997/7/25
- 著者:小倉貞男
この本は、紀元前後〜20世紀にホー・チ・ミン(胡志明)が独立を果たすまでの歴史を辿っています。一人一人の人物がしっかりと説明され、わかりやすく書かれています。
第1章では、ベトナムが中国から支配を受けていた時代のことについて説明されています。
そして第2章では、独立したベトナムがどのようになったのか、国民はどのような意識を持っていたのかなどが書かれています。
第3章ではベトナムがどのようにして南のチャンパ王国やカンボジアと戦い領土を広げていったのかが説明されています。
第4章ではフランス植民地の時代について詳しく書かれています。
フランス、中国、日本、アメリカとの戦いを乗り越えてどのように独立をしたのかをこの本によって知ることで今のベトナムの街や人、文化などの見え方が変わってくる一冊です。
著者の小倉貞男先生は1955年に読売新聞に入社し、様々な部署を転々としたのちにサイゴン特派員も務められました。都留文科大学や中部大学の教授も務められました。
ベトナム戦争―誤算と誤解の戦場(松岡 完)
- 詳細情報:ベトナム戦争―誤算と誤解の戦場
- 発売日:2001/7/25
- 著者:松岡 完
この本は、ベトナム戦争に関してより深く突き詰めている本です。
ベトナム戦争後に生まれた人々が過半数を占めている現代、実際の体験を語れる人数は当然のことながら年々減ってきています。加えて、ベトナム戦争を経験した両親や祖父母でも、語ることを拒む人も多いといいます。
そんなベトナム戦争に関して、内容がわかりやすく整理され、多方面からの視点で執筆されているので、もっとベトナム戦争について知りたいというかたにはおすすめの一冊です。
著者の松岡完先生は現在、筑波大学にて社会学の教授を務められています。ベトナム史の他にも、ベトナムとアメリカの外交などについても研究されています。
ベトナムを知れば見えてくる日本の危機(梅田邦夫)
- 詳細情報 :ベトナムを知れば見えてくる日本の危機: 「対中警戒感」を共有する新・同盟国
- 発売日:2021/5/28
- 著者:梅田邦夫
ベトナムという国をより近くで見て感じてきた梅田邦夫先生の、これから目指していきたい日本とベトナムの関係性やベトナムが諸外国にどのような影響があるのかという点を説明しています。ベトナムの現状分析を起点とし、日本の安全保障や経済、少子高齢化、ベトナムの政治経済、中国に関する内容も含められています。
また、梅田先生は2016年から2020年3月まで在ベトナム全権大使を務めたこともあり情報が新しく、今後に活かせる内容で書かれています。単にベトナムの歴史や言葉ではなく、より新しいベトナムの状況を知りたい人にとっては特に参考になる一冊です。
これからのベトナムビジネス2020(蕪木優典、實原享之、工藤拓人、チャン・グェン・チュン)
- 詳細情報:これからのベトナムビジネス2020 Win-Winの関係がもたらす多様なビジネスと人材
- 発売日:2021/1/31
- 著者:蕪木優典、實原享之、工藤拓人、チャン・グェン・チュン
最新のベトナムビジネスを学ぶのであればこの本がうってつけです。ベトナムのGDP成長は好調で、ベトナム進出している日本企業が相次いでいます。
本書はベトナムの経済状況から、製造業や不動産業など項目ごとのデータとそれに基づく見解が述べられております。さらには今後の経済の動向まで参考にすることができます。ベトナムでビジネスを始めようとしている人への入門書というだけでなく、純投資を考えている人にもお勧めです。
本書の著者の4名は、どなたもベトナムで実際にビジネスをしている方なので説得力が高いです。そのほかにも現地でのベトナム人との付き合い方や苦労話なども勉強になります。
〈決定版〉ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本(福森哲也、實原享之、工藤拓人、チャン・グェン・チュン)
- 詳細情報:ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本
- 発売日:2021/6/21
- 著者:福森 哲也、實原 享之、工藤 拓人、チャン・グェン・チュン
この本はベトナムの政治・経済・文化に加えて「ベトナムビジネスの進出方法」「現地経営のノウハウ」などを漫画で解説しています。しかし、ただの「漫画でわかる本」ではありません。
構図としては見開き1ページで1つの項目を扱っています。左側に漫画があり、右側に文章で説明が書いてあります。この文章は短くまとまっており、とても読みやすくなっています。そのためイメージがつきやすく理解がしやすい1冊になっています。ベトナムでビジネスをしようとしている人や出張で赴任する人の他にも、ベトナムにちょっとでも興味をもったという人にもおすすめです。
本書は上記「これからのベトナムビジネス2020」の著者の内の實原氏、工藤氏、チャン氏の3名と福森氏によって執筆されています。福森氏は日欧を代表するコンサルティングファームで活躍し、30年以上ベトナムの変化を見続けてきました。
多層化するベトナム(荒神 衣実)
- 詳細情報:多層化するベトナム社会
- 発売日:2018/2/20
- 著者:荒神 衣実
ベトナム社会には「社会階層」という枠組みが存在します。例えるなら経営者や大卒エリート、農民などです。この本はそんな社会階層から生じる不平等や格差の構造や特徴を各階層の目線になって解説しています。多面的にアプローチすることで、現在のベトナムの社会階層について深く理解することができます。
多少難しめの内容となっているので、ある程度の予備知識は必須となります。初心者向けの本を理解できた後が望ましいと思われます。
著者の荒神氏は現在、新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループに所属しており、ベトナムの農業農村や経済を専門分野としています。
ベトナムとビジネスをするための鉄則55(古川 悠紀)
- 詳細情報:ベトナムとビジネスをするための鉄則55
- 発売日:2016/6/23
- 著者:古川 悠紀
この本はベトナム人やベトナム社会に関する基本情報、仕事上での付き合い方、知っておきたいマナーなどを55個のQ&A にしてコンパクトにまとめられています。
出張などでベトナムで働く事になった人は持っておきたい一冊です。また、同じ職場に在日ベトナム人がいるけど接し方が分からないといった方などにもおすすめです。仕事する際に起こりうる問題などの対応の仕方について解説しています。
著者の古川氏は大学時代にベトナムの民俗学と民話学を研究したことから東南アジアを好きになり、2011年にホーチミンに移住しました。その後に、ベトナム語の勉強をし、フリーランスのトラベルライターとしてベトナムを周っています。その経験から書かれたコミュニケーション上の問題の解決法は、非常に説得力があります。
ベトナムのビジネス法務〔第2版〕(西村あさひ法律事務所)
- 詳細情報:ベトナムのビジネス法務〔第2版〕
- 発売日:2020/12/17
- 著者:西村あさひ法律事務所
この本は企業のベトナム進出の段階に応じたビジネス法務の分野全般に関わる解説をしています。具体的には進出の方法や現地での経営、コンプライアンス、撤退など法務解説書の決定版です。ベトナムでビジネスを始めようとしている方は是非とも呼んでほしい本です。
2020年に出版されていることから最新の法律に沿っています。また、著者の「西村あさひ法律事務所」は日本の弁護士であり、アジアを中心に拡大しております。その中にはベトナムの弁護士も多数在籍していることもあり、信頼できる書籍です。
まとめ
本稿ではベトナムを知る際におすすめの本10選を紹介しました。
「ベトナムを知る」といっても人によって歴史が知りたかったり、政治・社会、国民、言語、法律、ビジネスなど知りたい内容はそれぞれだと思います。
インターネットで調べるのも良い方法ですが、より深く知りたい、詳しく知りたいという方はやはり教授などの専門家によって書かれた本がおすすめです。もし気になった本があれば、ぜひ読んでみてください。
【参考記事】本記事の参考記事は以下の通りです。
ベトナム市場の情報収集を支援します
ベトナム市場での情報収集にお困りの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
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