ベトナム気象水文局は、年末にかけて全国的に台風・熱帯低気圧および豪雨の発生が平年を上回る異常傾向を示すと警告した。
農業・環境省は6日、定例記者会見を開き、農業生産および自然災害の現状を報告。気象水文局のホアン・ドゥク・クオン副局長は、「2025年の自然災害は近年にない複雑かつ極端な様相を呈しており、北部および北中部を中心に災害シーズンの時期的ずれや強度の増大が顕著だ」と述べた。
同氏によると、今年9月までに南シナ海(ベトナム呼称:ビエンドン)で14個の台風・熱帯低気圧が発生し、平年を大きく上回った。このうち6個(台風1号、3号、5号、6号、9号、10号)がベトナムに直接・間接的に影響し、復旧の間もなく災害が連続したという。

出所:Laodong.vn
豪雨も頻発しており、全国で14回の大雨イベントが確認された。その中には、5月22~24日および6月10~13日に北部と中中部で発生した「季節外れの雨」も含まれる。5月のハティン省では、観測所103カ所のうち29カ所で200ミリ以上、7カ所で400ミリを超える豪雨を記録した。
特に8月末と9月末には、首都ハノイで広範な浸水が発生。強い台風5号と10号が相次ぎ上陸し、豪雨・洪水・地滑り・浸水が同時多発、インフラや経済活動に深刻な被害を与えた。
気象水文局の分析では、年末までエルニーニョ南方振動(ENSO)は「中立からややラニーニャ寄り」の状態を維持する見通し。ラニーニャの完全発生には至らないが、気候は不安定な状態が続くとされる。
10~12月にかけては、南シナ海上およびベトナム本土への台風・熱帯低気圧の発生頻度が平年より高い見込み(平年:発生4.5個、上陸1.9個)。特にハティン~トゥアティエン・フエ、さらにクアンガイ~カインホア東部で豪雨のピークを迎える。
各河川(クアンチ~カインホア、ラムドン省)では洪水水位が**警戒レベル2~3(BĐ2~BĐ3)**に達する見通しで、一部ではそれを超える可能性もある。10~11月には大洪水の発生リスクが高く、年末には貯水ダムの運用時期と重なり、流域全体で被害拡大の恐れがある。
同局は、都市部での浸水、山岳地帯での土砂崩れ・鉄砲水の危険性が引き続き高いと指摘し、地方自治体や企業に対し、防災計画とインフラ整備の強化を呼び掛けた。
ベトナムでは気候変動に伴う極端気象が増加しており、防災インフラ投資や都市排水システム、早期警戒技術への需要が今後一層高まるとみられる。日本企業にとっても、防災技術・水処理設備・環境インフラ分野での参入機会が拡大する可能性がある。
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