ベトナム北中部のハティン省は、総投資額17,000億ドン(約1.7兆円)超となる大規模風力発電所「キアン風力発電所」プロジェクトの投資家募集を開始した。計画ではキーアン市内の3基礎自治体(キースアン、キーアン、キーカン)に47基の風力タービンを設置し、総出力400MWを確保する。事業期間は50年で、敷地には5.5haの土地と825haの水域、さらに19haの仮設用地を利用する予定である。
選定される投資家は、土地・環境・電力関連の法規制を遵守し、進捗管理や送電インフラ整備を含め、契約通りに運転を開始する責任を負う。特に本プロジェクトでは、国家電力網に接続するため、発電所から国の500kV送電網に至る二回線の送電線建設が求められている。省政府は商工局を中心に、実現可能性調査や投資家選定プロセスを監督し、基礎自治体は用地補償や住民対応を担う。
建設は2026年末までに着工し、2028年末の稼働を目指す。ハティン省はすでに太陽光発電所(カムホア50MW、カムフン29MW)を稼働させており、今後の再生可能エネルギー拡大に強い意欲を示している。しかし、送電網や規制面での課題から一部の案件は停滞しており、今回の大型計画は省の再エネ戦略における試金石となる。
ベトナム全体では再エネ拡大が国家方針として進められている。政治局の「エネルギー開発方針」(第70号決議)や第8次電力計画調整版では、2030年までに再エネ比率を28〜36%へ高める目標が掲げられている。特に風力発電は、陸上・近海で2.6〜3.8万MW、洋上で6,000MWの導入が計画されており、ハティン省の案件もその一環として注目される。2023年末時点で、全国の再エネ設備容量は太陽光約17,000MW、風力約5,000MWに達し、総電源の26%を占めている。今後、同省のプロジェクトはベトナム国内の電力安定供給と再エネ目標達成の両立に寄与する可能性が高い。
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