ベトナムは急速な高齢化に直面しており、2036年から「高齢社会」、その後20年で「超高齢社会」に移行する見通しである。国連人口基金(UNFPA)は、ベトナムが世界で最も速いペースで高齢化が進む10か国の一つであると指摘している。出生率の低下も背景にあり、統計総局によれば2023年の合計特殊出生率は過去最低の1.9に落ち込んだ。2007年に始まった人口ボーナス期は2039年には終了し、労働力構造の変化が社会保障や雇用政策に大きな影響を与えると予測される。
こうした人口動態の変化は、社会に課題をもたらすと同時に「シルバー経済」の新たな可能性を開く。高齢者向け医療や介護サービス、ライフスタイル支援、フィンテック、ヘルステック、住宅改修や高齢者施設など、幅広い分野で需要拡大が見込まれている。また、高齢者層は可処分所得を持つ消費者として新市場を形成し、サービス産業の成長を後押しする可能性が高い。
一方で課題も顕在化している。公的年金や医療制度は未整備部分が多く、介護人材不足も深刻である。急速な都市化や核家族化により家族介護が弱まりつつあり、制度的支えが不可欠になっている。これに対応するため、ベトナム政府は社会保障制度や高齢者支援政策を改定・補強しており、官民連携による新しい介護モデルや予防医療サービスの普及が求められる。
こうした状況を踏まえ、2025年9月19日にはホーチミン市で「高齢化社会とシルバー経済」をテーマにしたカンファレンスが開催される予定である。WeCare 247副総経理のHuân Lê氏が登壇し、課題と機会を併せて提示する。ベトナムにおける高齢化は大きな社会変化であると同時に、新産業育成の起点であり、経済成長の新たな局面を形成する可能性を秘めている。
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