ベトナム政府は、再生可能エネルギー(再エネ)プロジェクトの停滞を打破すべく、新たな対応指針を発表した。対象は全国で173件に及び、書類不備や制度上の不確実性、また一部の違反事例によって進捗が止まっている案件である。ファム・ミン・チン首相の指示のもと、グリーン投資環境の信頼回復と、脱炭素目標実現に向けた政策整備が急務となっている。
政府はまず、既存の監査・調査・訴訟履歴の有無に応じてプロジェクトを分類。法的違反がある場合は各レベルの行政単位が管轄に応じて対応し、単なる手続き上の問題であれば、迅速な処理を進めることを求めている。また、資料紛失を避けるため、地方統合時の文書管理にも警鐘を鳴らしている。

加えて、フィードイン・タリフ(FIT)の適用可否や、契約上の支払い差額とそのリスク分析を明確化し、7月15日までに各省庁が精査報告を行う。特に新型コロナ禍において検収手続きが遅延したプロジェクトや、外国資本が絡む発電所については慎重な審査が必要とされている。
今回の指示では、「6つの明確化」(責任者、業務、期限、責任範囲、成果物、権限)を軸に、関係省庁・地方政府・EVN(ベトナム電力)などが連携して再エネ推進に向けた調整を進める。なお、国会常務委員会および中央検査機関との連携強化も図られる。
再エネ開発はベトナムの脱炭素目標およびエネルギー安定化戦略の根幹をなすだけに、政府は不作為のリスクを強く意識しており、民間投資家や海外企業への信頼確保が今後の鍵となる。信頼回復の道筋は「迅速かつ透明な制度運用」と「明確な責任分担」にかかっている。
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