2025年7月1日より施行される「政令第151/2025/NĐ-CP号」により、ベトナム地方政府、特に基礎自治体(村・町・区)レベルにおける土地行政の権限が大幅に拡大された。これにより、人民委員会(UBND)基礎レベルの機関が、土地使用権証明書(通称「赤本」)を発行する権限を持ち、対象は安定的に土地を使用しており、法令に適合し、争いがない世帯や個人である。発行までの処理期間も最大3営業日と明確に定められており、従来の煩雑な手続きを大幅に簡素化している。
また、基礎自治体の主席(人民委員会主席)は、これまで郡(県)レベルであった以下のような多くの土地関連権限を委譲されている:土地の引き渡し、賃貸、用途変更、補償・移転計画の承認、土地収用の決定と通知、強制収用にかかる予算の承認などである。これにより、地域に密着した行政判断が可能となり、土地政策の運用における柔軟性が大幅に高まると期待されている。
企業側にとっても大きな変化がある。土地賃料が全額免除される特定企業に対しては、基礎自治体レベルで土地の引き渡しや用途変更が処理されるようになった。また、規模が小さい案件については、企業が直接基礎自治体と手続きを進められるため、事業のスピードと効率性が向上する。
さらに、人民委員会の省(市)レベルでは、水面を含む広域の土地使用判断、組織や個人による土地利用変更決定、計画に合致した土地使用形態の認定など、広域調整の権限が強化された。
総じて、今回の制度改正は、ベトナムにおける土地行政の分権化と、地方政府の現場対応力の向上を目指したものであり、行政手続きの迅速化、透明性の確保、投資環境の改善に資するものである。ベトナム地方政府の制度改革として、企業・住民双方にとって実務的なメリットが大きく、今後の土地政策のあり方に大きな影響を与えると見られる。
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