FIT価格見直しで揺れるベトナム再エネ事業と投資環境
ベトナム国内の多くの再生可能エネルギー事業が、過去に適用された電力買い取り優遇制度(FIT価格)に関して、適正性を問われる問題に直面している。具体的には、2021年以前に商業運転を開始した173件の風力・太陽光発電プロジェクトが、商業運転開始時点(COD)における検査合格証の未取得を理由に、FIT価格適用の条件を満たしていないとベトナム政府監査機関に指摘された。
この再調査により、過去の売電契約が見直され、売電価格が引き下げられる可能性がある。これが実施されれば、15,000MW相当の電力容量を持つプロジェクトが影響を受け、投資総額13億ドルに及ぶベトナム企業の自己資本が損失を被るリスクが生じる。さらに、これらのプロジェクトには海外の金融機関や投資ファンドも多数関与しており、価格の見直しはその資金計画にも深刻な影響を及ぼす。
ベトナム商工省やEVN(ベトナム電力公社)による電力買い取りの削減も重なり、ベトナム企業の収益性は大きく低下している。多くのプロジェクトでは借入金の30~40%しか返済が進んでおらず、電力価格が現行より25%下がると、プロジェクトは不良債権化し、ベトナム国内の金融機関の資金繰りにも悪影響を与えると懸念されている。
さらに、2019年から2021年にかけての投資ブーム期には、ベトナム企業の多くが海外専門家や外国企業に依存したために建設費が高騰し、太陽光パネルの価格も現在の1.5~2倍に達していた。また、COVID-19による制約下での工期短縮もコスト増の要因となった。
このような背景のもと、ベトナム政府にはベトナム国内の再生可能エネルギー投資環境の安定性を確保し、契約の信頼性を保つための適切な対応が求められている。ベトナム企業にとって、既存の政策変更が将来的な投資判断に大きな影響を与えることは避けられない状況である。
