ベトナムへの外国直接投資(FDI)の動向と課題
ベトナムのSSI証券株式会社の研究機関SSI Researchは、2024年末から多くの地域で新しい土地価格表が導入されることにより、新しい工業団地での用地取得補償費用が大幅に増加すると指摘している。
このコストの増加により、新しい工業団地プロジェクトの利益率は30-35%に低下し、既存の工業団地プロジェクトの50%以上から減少する見込みである。過去10年間、ベトナムへの外国直接投資(FDI)は、中国からの生産拠点の移転などにより成長を続けてきたが、2024年にはFDIの流入が鈍化している。2024年1月~10月の間、登録されたFDI総額は272.6億米ドルに達し、前年同期比でわずか1.9%の増加にとどまった。
この成長鈍化の要因として、為替レートの変動がプロジェクトの効率に影響を与え、FDI企業が新規投資に躊躇する可能性が挙げられている。ベトナムはインドネシアやタイなどとFDI誘致で競争しており、特にインドネシアはオムニバス法を施行し、タイは法人税率を10%に設定している。また、ベトナム南部地域ではインフラ整備が遅れており、高い物流コストが投資の魅力を低下させている。工業地域で賃貸可能な土地面積が限られているため、投資家は適切な投資先を見つけるのが困難になっている。
2024年のアメリカ大統領選挙では、トランプ氏が米国経済を守るための貿易政策を強調し、中国からの輸入品に60%の関税を課す意向を示した。この保護主義的な政策は輸入品に対する不透明な影響を及ぼす可能性がある。短期的にはFDI企業は新しい関税政策について具体的な情報を待つことになるだろう。しかし、2018年には米国が中国からの輸出品に500億ドル相当の関税を課し、この政策によって生産拠点が中国からベトナムへ移転した。現在、多くの企業がベトナムで生産を行っており、政府もFDI流入を促進するための改革を進めているSSI Researchは、新しい米国税法が適用されてもFDI流入は引き続き成長すると予測している。
