ベトナムのゴム産業の新たな展開
ベトナム最大手のゴム生産会社で国営企業のベトナム・ラバー・グループ(VRG)は、新たにグリーン成長戦略を発表した。この戦略では、2023年から2030年にかけての計画と、2050年までの目標が策定されている。VRGは、経済発展、環境保護、社会責任の3つの柱を中心にグリーン成長戦略を実施する。
VRGは、ベトナム国内で約30万ヘクタール、カンボジアで約8.7万ヘクタール、ラオスで約3万ヘクタールのゴム農園を有し、年間約32万トンのゴムを生産している。
VRGのグリーン成長戦略
VRGのグリーン成長戦略では、2030年までに温室ガス排出量を最低15%削減し、2050年にはその削減率を30%に引き上げるグリーン成長戦略を策定している。この戦略のもと、VRGはグループ全体のゴム農園面積の60%に森林管理認証(VFCS/PEFC/FSC)を取得することを目標とし、全ゴム製造工場の加工・流通過程の管理認証(Coc)の取得を目指している。2050年には、グループ全体のゴム農園とゴム製品の全てが森林管理認証および製品認証を取得する計画である。
生産プロセスに関しても、VRGは2030年までに再生可能エネルギーの使用率を少なくとも15%にし、2050年には50%以上にすることを目指している。エネルギー使用は20~30%削減、使用する水を最低35%削減、廃棄物および汚泥の40%を再利用、製造プロセスでの有害廃棄物の最小化も目標である。
また、VRGは土地利用効率の向上と多様性ある農地保全を目指している。条件が良いゴム農園においては、農園の多様化が図られている。これには、既存のゴム農園での間作や再植林地での多様な作物の導入がなど、さまざまな形態の開発が含まれている。GIS(地理情報システム)の活用により、樹齢や生産性に基づいてゴム農園の管理を効率化している。
小規模なゴム農家への支援はVRGの重要な戦略の一部である。技術的な支援、生産性が高く品質の優れたゴム品種の提供を通じて、小規模農家の成長が促進されている。これにより、ゴム農家はより持続可能かつ収益性の高い農業を実践できるようになっている。
VRGのグリーン成長戦略は、環境に配慮した持続可能なビジネスモデルを推進し、ベトナムのゴム産業が環境への影響を軽減しつつ、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めている。