『公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)』の促進
ベトナムは2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、再生可能エネルギーの開発やエネルギーの効率的な使用を促進し、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の成功を目標としている。
2023年8月31日、副首相のチャン・ホン・ハ氏が決定1009/QĐ-TTgに署名し、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」に関する実施計画が承認された。この取り組みは、国際パートナーからの支援を最大限に活用し、技術移転、人材育成、資金供給などを通じて、ベトナムのエネルギー開発戦略・ベトナム第8次国家電源開発計画(PDP8)・国が決定する貢献(NDC)を促進させ、石炭火力発電・化石燃料から脱却し、グリーンエネルギーへの移行を進めるものである。
JETPとは
JETPは、国際パートナー(イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、日本など)が化石燃料からの移行を支援する目的で、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で立ち上げられたパートナーシップである。国際的な支援の下で、ベトナムは2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするために、GHGの排出削減を加速させ、化石燃料からグリーンエネルギーへの転換を進めるという大きな目標を立てている。この取り組みのために、約155億ドルの資金が投入される予定である。
プロジェクトの長期目標
ベトナムは、2030年までにエネルギー転換を進めるための法制度を整備し、再生可能エネルギーの普及を強化する方針である。このプロジェクトでは、CO2の排出削減や水素・、アンモニアの生産推進を目指している。また、石炭火力発電所の新設は見送り、既存の発電所を段階的に廃止する予定である。2050年までに再生可能エネルギーの比率を85%にすることを目指している
ベトナムにおける石炭火力のグリーンエネルギーへの転換促進
ベトナムは、石炭火力発電のグリーンエネルギーへの移行を積極的に推進している。具体的な取り組みとして、プロジェクト進行中の石炭火力発電所への投資の中止や、効率の低い石炭火力発電所の閉鎖を検討している。プロジェクト進行が遅れている、あるいは株主の変更や資金調達に困難が生じている石炭火力発電所への投資に対する交渉を進める方針であり、古く非効率な石炭火力発電所の閉鎖についても交渉を進行中である。環境基準を満たさない石炭火力発電所も稼働を停止させ、その後の適切な利用方法についても検討が進められている。既存の発電所の効率を上げる取り組みも行われており、発電から送配電に至るまでのエネルギー利用効率の向上を図るとともに、化石燃料の使用からグリーンエネルギーへの転換を進めている。
ベトナムのエネルギーの効率的・節約的利用に向けた取り組み
工業、農業、交通、サービス、家庭といった多岐にわたる分野でのエネルギーの節約と効率的な使用を奨励する解決策が策定される。また、各市場のエネルギー消費に関する基準、規格、義務規定の改善と公布も進められていく。これらの施策は、ベトナムがグリーンエネルギーへの移行を進めるとともに、各産業や家庭でのエネルギー利用の効率化を実現するための基盤となるものである。
再生可能エネルギーの開発
再生可能エネルギーおよび関連分野の開発も、PDP8に基づき行われている。特に、オフィスや住宅での屋根置き太陽光発電 の促進や、グリーンエネルギーの消費拡大が目標とされている。
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