ベトナムのカシューナッツ業界は、2026年第1四半期の輸出成長が必ずしも通年目標の楽観視につながらない、不安定な時期に直面している。ベトナムカシューナッツ協会(Vinacas:世界最大規模を誇る業界団体)によると、同時期の輸出額は前年同期比10.9%増の9億5,350万米ドル(約1,488億円)に達した。しかし、同協会は2026年の輸出目標を前年の54億3,000万米ドルを下回る50億米ドル(約7,802億円)へ下方修正することを決定した。

出典: Dan tri
この慎重な姿勢の主な要因は、中東地域における地政学的な不透明感である。具体的には、イスラエルとイランの衝突後、同市場への輸出量は3月に50%減少し、4月にはほぼ停滞した。さらに、紅海・スエズ運河ルートの不安定化による物流コストの高騰が、企業の利益率を直接的に圧迫している。
供給面では、依然としてカンボジアやコートジボワールからの輸入原料に大きく依存しており、第1四半期の生カシューナッツ輸入量は35.9%増加した。しかし、「原料高・製品安」の逆鞘現象に加え、借入金利の急速な上昇が加工工場の財務負担となっている。こうした中、Vinacasは金融支援策や、付加価値を高めるための深加工技術への投資促進を政府に提言している。日本企業にとっては、加工ラインのアップグレードや近代的な食品加工機械の提供を通じた協力の機会であり、ベトナムのカシューナッツ産業が原料輸出から高付加価値製品へ転換を図る上での戦略的パートナーシップが期待される。
