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経済動向

ベトナムビジネス外信:最新の動向(6月第1号)

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はじめに
この記事で伝えたいこと
  • Vietbizでは通常の業界分析レポートだけでなく、速報性の高いベトナムビジネスのニュースをまとめた新聞のようなレポートも定期的に掲載していく。
  • 直近のベトナムにおける、日本企業に役立つベトナムビジネスの情報を幅広く収集した。
  • 今回は再エネ、カーボンニュートラル、消費者トレンドなどに関してチェックすべきニュースが見られた。

【再エネ】500件の送電プロジェクトを実行するための資金源は?

第8次ベトナム国家電源開発計画には、500件以上の送電プロジェクトが示されているが、これらのプロジェクトに投資する主体が誰であるかは、具体的な実施計画が発表されるまで確定しない。

第8次国家電源開発計画は2023年5月15日に公表され、2021年から2030年までの期間に投入される発電源及び送電ネットワークの開発投資総額は約1347億ドルに相当し、送電への需要は年間約15億ドルとされている。2031年から2050年の期間については、発電源及び送電ネットワークの開発投資需要は、3992億ドルから5231億ドルと見積もられ、送電への需要は年間約17億ドルから19億ドルと予測されている。

多くの専門家は、民間部門が上記の送電プロジェクトへの投資に積極的に関与すると予想している。ただし、民間企業による送電線や変電所の迅速な建設は、自社の発電所からEVNの接続ポイントへの電力供給を目的としているが、第8次ベトナム国家電源開発計画には含まれていないため、具体的な条件は現時点では明らかにされていない。

それゆえ、ベトナムは第8次国家電源開発計画に掲載されている500件以上の異なる電圧レベルの送電線及び変電所プロジェクトに対し、民間セクターの積極的な参入を促すため、具体的なガイドラインと優遇措置の整備が必要である。

送電については、商工省は2023年6月までに計画を完成させ、政府首相に提出する責任を負っている。省庁は、どの送電プロジェクトがどの主体(EVN、EVNNPT、あるいは民間企業等)により実施されるのかを詳細にリスト化することが求められている。これにより、資金調達の手段がどのように計画されるかが決定される。

送電網の整備はベトナムの大きな課題
送電網の整備はベトナムの大きな課題 出所:現地メディア Dautu

【カーボンニュートラル】乳製品企業Vinamilkがカーボンニュートラルを一部拠点で達成

2023年5月26日、ベトナムを代表する乳製品企業であるベトナム乳業株式会社(Vinamilk)は、2050年のネットゼロ達成を目指した行動計画「Vinamilk Pathway to Dairy Net Zero 2050」を正式に発表した。

Vinamilkは、先端技術を導入した工場や農場のシステムを構築し、毎日数百万個の製品を供給する、ベトナムを代表する乳製品企業である。同社は持続可能な農業、環境に優しい生産、環境に配慮した物流、そして持続可能な消費という4つの重要な領域に焦点を当てた行動計画を策定した。

具体的には、Vinamilkがイベントで公表したロードマップは以下のとおりである。「2027年までに温室効果ガス排出量を15%削減し、2035年までに排出量を55%削減・中和し、そして2050年までに排出量をゼロとする「ネットゼロ」を目指すことである。」

特筆すべきは、2022年に温室効果ガスの監査を終えた後、Vinamilkのネアン省にある乳製品工場と乳牛農場は、PAS2060:2014の基準に基づいてカーボン中和を達成した最初の施設となった点である。これにより、Vinamilkはベトナム初の乳製品会社として、同基準を満たす工場と農場を所有していることが確認された。

Vinamilk がカーボンニュートラルへの取り組みについて発表 出所:現地メディア Kihn te&Do thi

【マクロ経済】ベトナム国内の消費需要を刺激する政策が提案されている

2023年5月15日時点で、ベトナムの輸出額は前年同期比で約170億ドル減少している。主要な取引先国が輸入を削減しているため、ベトナムの輸出は苦境に立たされている。その結果、1億人以上を抱える国内市場がますます重要性を増している。特に水産物、衣料品、家庭用品などの商品の消費拡大が期待されている。

国内消費の現状としては、購買力は回復傾向にあるものの、依然として弱い状態が続いている。生産、投資、消費の活性化を図るため、緊急の支援策が求められている。

最近では、政府が国会に対し、現行の10%の消費税率が適用される商品やサービスについて、付加価値税(VAT)を2%引き下げる政策を継続するよう提案した。この結果、現行の税率は8%となっている。

ベトナムにおいては、消費の活性化が最も費用対効果の高い手段であると言える。特に、若年層や多くのスマートフォン利用者を持つ現状から、取引量は増加し、電子商取引市場は急速に成長している。これにより、企業や小売業者は商品の消費拡大を実現することが可能となっている。この消費の回復が他の経済部門にも波及することが期待されている。

ベトナムのスーパーマーケット 出所:現地メディア Dautu

【農業】日本企業はベトナム農産物の品質向上支援に前向き

2023年5月26日、副首相チャン・ルー・クアンは日本を公式訪問し、「アジア未来会議」に出席した。彼は日本経済団体連合会(経団連)のベトナム・日本経済協力委員会の共同議長3人と面会した。共同議長にはレゾナックグループの高級アドバイザー市川秀夫氏、住友商事の社長兵藤雅之氏、そして双日グループの社長藤本正義氏が名を連ねている。

この機会を捉え、副首相は経団連に対し、再生可能エネルギー、気候変動対策、クリーンな農業、デジタルトランスフォーメーション、環境への転換、半導体、農産品加工技術等の分野で、ベトナムへの投資と協力をより一層推進するよう要請した。

経団連側からは、ベトナムへの高い評価と長期的な協力への意向が示された。ベトナムは政治的安定性、高い経済成長率、若年人口と教育水準、そして広範な消費市場を兼ね備えており、日本の投資家にとって大いに魅力的な市場であり、またグローバルなサプライチェーンにおいても重要な位置を占めている。

この会合において、双日グループの藤本社長は、ベトナムの農産物品質の向上を支援し、日本企業が高い関心を示す先端農業技術への投資を促進する意向を示した。

双日グループはベトナム市場での協力関係を強化し、積極的に進出を進めている。2021年末には、双日グループはVinamilkと、ベトナムにおける牛肉事業への投資及び開発についての覚書(MOU)を締結した。Vinabeef Tam Daoは、Vinamilk、Vilico、Sojitzグループ、およびVinh Phuc州と協力して、ベトナムで日本の畜産技術を活用した牛肉加工プロジェクトを開始するために、2021年末に締結された覚書に基づき初めて立ち上げられたプロジェクトである。この覚書はベトナムと日本の企業間で最も価値ある協力覚書と評価され、ベトナム・日本投資促進会議において、首相の立会いの下で署名された。

チャン・ルー・クアン副首相と経団連の代表者 出所:現地メディア 
チャン・ルー・クアン副首相と経団連の代表者 出所:現地メディア NGUOI LAO DONG

【消費者トレンド】ベトナムでは現金以外の決済が急激に増加している  

ベトナム国立銀行(SBV)の統計によれば、2023年4月初旬までのデータに基づくと、非現金決済取引は数量で53.5%増加した。その中でも、QRコードを使用した取引は数量で160.7%増加し、金額で43.8%増加している。

非現金決済手段の中では、QRコードを用いた方法が数量と金額の両面で最も急激に成長している。年々、前年比での取引数は大幅に増加しており、2022年におけるQRコードを使用した支払いは、数量で2021年に比べて225%以上、金額で244%以上増加した。

モバイルマネーの登録と利用アカウントの総数は371万件で、8.9千のビジネスポイントが設けられ、15.3千の支払い受け入れユニットが存在する。多くの銀行サービスは、手続きとプロセスがシンプルで迅速であるため、完全なデジタルチャネルで実行でき、即座に結果を得ることが可能である。

非現金決済手段の推進を目指す様々な政策が導入されている。これには、電子認証(eKYC)で個人の支払い口座を開設するための指針、eKYCカードの発行に関する指針、2025年までの銀行業界のデジタル化計画及び2030年までの展望、銀行業界の06プロジェクトの実施などが含まれる。

よって、将来において、非現金決済は更なる普及と発展を遂げると予測されている。

ベトナムではQRコード決済も増加している 出所:現地メディア TAP CHI DOANH NGHIEP&Tiep thi
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