ベトナム北部では2024年～2025年、電力不足が予測される
商工省の2023年上半期の評価会議において、ベトナム電力グループ（EVN）の代表取締役チャン・ディン・ニャン氏は次のように述べた。
「今後、電力の需要と供給のバランスが、電力確保において非常に困難な状況に直面すると考えられ、ベトナム北部では2024年から2025年にかけて電力不足に陥ることが予測される」
2023年の初めに、気候変動の影響で電力供給が困難となった。貯水池の水位が低下に伴い、水力発電所が制約下で運転を強いられ、一部地域で計画停電が実施された。しかし、停電の通知を受けられた企業と受けられなかった企業があり、多くの企業の生産や事業活動に大きな影響を与えた。
今後の電力供給を確保するためにEVNは首相及び商工省に対して提案を行う予定である。具体的には、電力システムの運営、十分な燃料の確保、発電所の稼働に関する対策に加えて、LNGプロジェクトの早急な開発、集中型太陽光発電、分散型屋根置き太陽光発電 、陸上風力発電および洋上風力発電などを含む、北部地域への電力供給のためのプロジェトを急ぐ必要がある。
ベトナムの電力供給問題を解決するための商工省の取り組み
2023年6月4日に開催されたオンライン政府会議と定例政府会議において、商工省のグエン・ホン・ジエン大臣は次のように述べた。
「電力供給には多くの問題があり、一部地域では電力削減や計画停電が必要となり、ビジネスや市民の生活に影響を与えている」この状況の原因について、次のように分析をした。
「現在、世界のエネルギー市場は非常に複雑な動きを見せており、エネルギー価格が高騰している。気候変動とエルニーニョ現象の影響により、長期的な干ばつと水不足が引き起こされ、これが水力発電に大きな影響を与えている。これが乾季における一時的な電力不足のリスクを引き起こしている」
電力を確保するため、グエン大臣は、内務省、ベトナム石炭鉱業グループ（TKV）、ベトナム石油ガスグループ（PVN）、ベトナム電力グループ（EVN）と関連機関に対し以下の内容を指示している。
- エネルギー供給源およびインターコネクターの開発プロジェクトの促進
- 電力システムの調整と運営を効果的に実施すること
- 電気システムの整合性と効率性の確保
また、商工省は、クリーンエネルギー（水素、緑のアンモニアなど）の開発、電力法（改正案）および再生可能エネルギー開発に関する法律、直接電力取引契約（DPPA）および送電網への投資を促進するための政策を推進し、国家エネルギーの安全保障に貢献するための提案の準備をしている。
しかし、これらの対策には時間を要するため、大臣は最低限必要な電力供給を確保するための緊急対策として、首相指示第20号に従って節電対策を講じているが、今後も厳しい状況が続くと考えられる。さらに、大規模かつ重要なエネルギープロジェクト（特に電力供給および送電システムに関連するプロジェクト）を早めるよう要求し、投資家によるプロジェクトのトラブル解決を急ぐように求めた。
ベトナムの電力供給問題の解決には、これらの施策が求められる。気候変動の影響がさらに深刻化する中、電力供給問題にどのように対応し、状況を改善していくか注目されている。
