技術競争が地政学と強く結び付き、グローバルサプライチェーンが再編される中、ベトナムはチップ、AI、半導体分野で独自の発展戦略を選択すべきとの見方が示されている。フォーラム「技術と地政学:チップ・AI競争とベトナムの戦略的選択」では、直接的に技術大国と競争するのではなく、内在的な強みを生かせる分野に集中する重要性が議論された。
グリニッジ大学のグエン・トゥエ・アイン氏は、半導体のバリューチェーンでは設計(ICデザイン)や知的財産など上流工程が高い付加価値を生む一方、組立・封止・テスト(ATP)といった下流工程は利益率が低いと指摘した。後発国であるベトナムにとって重要なのは工場建設ではなく、設計力、システム統合力、AIと結び付いた中核アプリケーションの確立であるという。
AI分野について、日立デジタルサービスのグエン・バー・クイン氏は、生成AIやエージェント型AIの登場により、企業が短期間でアプリケーションを市場投入できるようになり、新興国と先進国の差が縮小していると述べた。AIの価値は技術そのものではなく、データ分析を通じて企業の具体的課題を解決する点にあると強調した。
一方、マーベル・テクノロジー・ベトナムのレ・クアン・ダム氏は、ベトナムにはIC設計やATP分野で約60~70社の企業と多数の技術者が集積していると評価した。ただし、さらなる高度化には、明確な政策支援、知的財産保護、EDAツールへの支援、官学産連携が不可欠である。専門家は、人材、信頼、地政学的安定性を基盤とする「独自ルート」が、ベトナムの技術的地位を左右すると結論付けている。
