2025年8月25日、ベトナムエネルギー学会は「電力計画VIII(PDP8)」に基づく電源構成のうち、国内ガスと輸入LNGを利用する火力発電所の進展に関して、政策上の不一致が依然として解消されていないと指摘した。PDP8では2030年までに国内ガス火力の設備容量を現行の7GWから16GWに拡大し、輸入LNG火力を0.8GWから22.5GWへ大幅に拡大する目標を掲げている。
現在、進捗が確認できるのはロンナン省のLNGニョンチャック3・4(1,624MW)と、ロットBガスを利用するオーモン4(1,050MW)のみである。その他の案件は資金調達、EPC選定、GSA(ガス販売契約)、PPA(電力購入契約)の交渉段階に留まっており、2030年の稼働に向けた不透明感が強い。
特に民間・外資IPP(独立発電事業者)と国営EVN、PVNの間で、容量料金の適用、ガス引取義務のPPA転嫁、為替調整メカニズム、契約終了時の買収条項、準拠法の選択などの論点で隔たりが大きい。投資家側は国際金融機関の融資要件を背景にBOT方式並みのリスク分担を求める一方、EVN・政府側はIPPに特別優遇を認めれば市場競争を歪めると懸念している。
背景には再エネ導入拡大に伴う変動性調整力の確保、エネルギー安全保障、国内資源活用の優先がある。今後は「利益の調和・リスクの分担」という政府方針の下で制度設計が急務である。各プロジェクトが停滞すれば風力・太陽光の新規投資も制約を受け、経済成長に必要な電力供給が揺らぐ可能性がある。
結論として、ベトナムは国際的な容量市場の事例を参考に、容量料金や為替調整を含む価格枠組みを整備する必要がある。さらに、承認手続、系統接続、投資環境の透明化を早期に進め、2030年運転開始の実現可能性を高めることが今後の課題である。
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