FDIの変化とベトナムの製造拠点としての役割強化
FDI資本の動向と投資家リストの変化、2024年に加速
2023年後半以降、FDI(外国直接投資)の流れと投資家リストには顕著な変化が見られ、2024年もその傾向は続いている。その傾向とは、中国本土、香港、台湾からの資本流入が増加しており、中国本土がベトナムのFDIの主導的な位置を占めるようになってきていることである。この動きは、両国経済の深い類似性や再編が進むグローバルサプライチェーンによって促進されている。
FDI登録資本の増加と貿易関係の強化
2007年以降、両市場間の貿易額は10倍に拡大し、ベトナムは中国製造業のサプライチェーン下流セグメントで重要な役割を担うようになっている。2024年上半期の新規FDI登録資本では、中国本土、香港、台湾の経済圏が全体の60%を占めており、2022年の38%から大幅に増加している。さらに、2024年上半期では、シンガポールからのFDIの約50%が実際には中国本土と台湾からの資本で構成されている。
台湾の投資多様化と新南向政策の影響
中国本土ほどの規模ではないものの、台湾はサプライチェーンの多様化と方向転換を目指し、ベトナムへの投資を強化している。2016年に策定された新南向政策が、台湾からの資本流入を後押しする役割を果たしている。
FTAがもたらす競争優位性
ベトナムが締結した二国間および地域FTA(自由貿易協定)は、台湾のグローバル製造企業にとってコスト効率の高い輸出拠点としてベトナムを選ぶ動機となっている。これにより、FoxconnやCompal、Pegatronなどの企業がベトナムを戦略的な生産拠点と位置づけている。
香港からのFDIの特性
香港からの資本流入は多様な投資家が特徴である。香港の企業グループに加え、中国本土の企業が香港を足場にベトナムへの投資を進めている。こうした動きは、香港がベトナムへの投資拡大の重要なハブとして機能していることを示している。